株式会社いつつ

将棋を楽しむ 将棋を学ぶ 2018年1月19日

子どもたちの将棋の成長が分かるポイント5つ

中倉 彰子

子どもたちを将棋教室や将棋道場に通わせてはいるものの、「本当に強くなっているのかしら?」と思うことはありませんか。特にお母さんが将棋に詳しくない場合だと、「よし!対局をして成長度合いを確かめてみよう」と実際に対局して成長度を確認することは、なかなか難しいと思います。

ただ、子どもの成長を感じるというのは親にとってはとても嬉しいもの。将棋が分からないなりにも、将棋教室に通っている成果を実感したいことかと思います。

生徒のお母さんから、「子どものサンタさんへのリクエストが、今年は詰将棋の本でした。昨年まで妖怪ウォッチのフィギュアや車だったのに、一気にお兄ちゃんです。」と報告していただき、私も嬉しくなりました。

そこで今回のいつつブログでは、将棋のルールを知らないママでも分かる、子どもたちの成長の証をいくつか紹介したいと思います(^ ^)

1.級認定証

いつつの将棋教室でも級認定を取り入れています。
いつつの将棋教室でも級認定を取り入れています。

将棋教室や将棋道場では、子どもたちの棋力に合わせて級認定の制度を取り入れているところが多く、昇級のたびに認定証のようなものを渡します。教室により細かい昇級規定は様々ですが、将棋が強くなると昇級するという真理だけはどこでも同じなので、新しい級認定証を持っているということは、それは紛れもなく子どもたちの棋力が上がった証です。

また、級認定証がない教室の場合は、子どもたちに直接「今何級?」と聞いてしまうといいと思います。もし前回聞いた時より、級の数が若くなっていれば、それだけ子どもたちが頑張って将棋に取り組んでいるということです。

ただ、級はそう度々上がるものではありません。レッスンのたびに「今何級?」と聞きすぎると子どもたちへのプレッシャーになると思うので要注意ですΣ( ̄。 ̄ノ)ノ

2.読む本の種類が変わる

将棋が強くなると子どもたちの読む書籍が変わる。
将棋が強くなると子どもたちの読む書籍が変わる。

これは、子ども将棋の名指導者である棋友館の小田切館長がお話していたことです。

棋友館にはたくさんの将棋書籍が収められたミニ図書館のような書棚があるのですが、その中で将棋をはじめたばかりの子どもたちがまず見るのが将棋マンガやマンガテイストの解説書です。しかし将棋の実力が上がるにつれ、これまでマンガばかり読んでいた子どもたちが難しい専門書を読むようになるというのです。

将棋の専門書というと、難しい漢字や馴染みのない将棋用語があり、小さなお子さんには内容が難しいかもしれませんが、棋譜だけを読んでなんとなく定跡を感じることができると思います。つらつら並ぶ棋譜を見て何が書かれているのか推測しているようです。

難しい書籍を読んででも強くなりたいという情熱を子どもたちが持つようになれば、これまでの成長はもとより、これからもどんどん強くなる証だと思います。
(^ ^)

3.道具を大切に扱うようになる

年末は皆で駒を磨きました。たくさん使ってきた駒に感謝をこめて・・・。

将棋を始めて成長するのは、棋力だけではないと考えています。将棋は子どもたちの心も豊かに育ててくれるのです。

将棋で育つ心の一つとして「ものを大切にする」というものが挙げられます。もしこれまで、家で将棋をしたら道具をそのまま出しっ放しにしていたお子さんがちゃんと駒をしまうようになれば、それは子どもの心が成長した証。さらに駒の枚数をちゃんと数えてしまうようになればもういうことなしです。

また、将棋道具に対する心持ちは、将棋に取り組む姿勢と同じであるといえます。将棋中継などを見ていただけるとよく分かると思うのですが、プロ棋士の中に将棋道具を粗末に扱う人なんて一人もいないのです。

よって道具を大切にすることは強くなるための第一歩。ちゃんと駒を数えてしまうようになればそのうち将棋の実力も伴ってきます。

4.会話に将棋用語が混ざるようになる

将棋を好きになると話したくなる将棋用語。
将棋を好きになると話したくなる将棋用語。

いつつのスタッフ内のやりとりで良くあることなのですが、自分が日常用語のつもりで話していた言葉が「今の将棋用語ですよ」と指摘を受けることがあります。

もし、お子さんが突然「味がいいですね」や「絶妙手!」といった将棋用語を日常会話の中で繰り出すようになれば、それだけ将棋がお子さんの日常に溶け込んでいる証拠になります。

好きこそものの上手なれといいますが、将棋も同じです。将棋を好きになればなるほど将棋用語をよく使うようになるし、将棋用語を使えば使うほど将棋が上達しているかもしれません。

5.顔つきが変わる

考えて指すようになると子どもの顔がキリッとする。
考えて指すようになると子どもの顔がキリッとする。

私が、自分の息子で成長を感じたのは、対局中の顔を見たときです。普段は家ではまだまだ甘えん坊の息子ですが、大会などでは、家では絶対に見せることのない真剣な顔つきに思わず「お!」と驚きます。

そういえば私も対局中の顔が怖いと良く言われますが、将棋を指していると怖い顔になるのは集中して考えているからなのでしょうか・・・。

将棋をはじめたばかりの子どもたちは、ルールに従って駒を動かすだけで精一杯なので、集中力が切れてよそ見をしていたり、明らかに「飽きた」という表情をしていることもあります。

なので、子どもたちが真剣な顔つきになったとき、それはただ指しているのではなく「考えて指している」ということ。これは対局の勝敗にかかわらず明らかに将棋が強くなった証と言えるでしょう。

ちなみに、先ほど「普段家では絶対に見せることのない」と言いましたが、将棋大会に参加すると、いつもより緊張感を持って対局に取り組んでいることもあり、滅多に見れない子どものキリッとした表情を見ることができると思いますよ。

子どもが将棋大会に参加するときはぜひママパパも応援しに行って(もちろん助言は厳禁ですが)、思い出の1枚を残してくださいね。

さて、今回は子どもたちの棋力が上がってくることで見せるちょっとした変化についてお話させていただきました。些細なものが多いですが、色んなところから子どもたちの成長を感じ取れるととてもうれしいですよね( ^∀^)

そもそも将棋をするとどんなところが成長するんだろう?という疑問については、将棋で身につく意外な力についての記事もご参考になさってくださいね。

本当にはじめて将棋に触れるというお子さまでも無理なく楽しく将棋を学ぶことができるいつつ将棋教室では、毎月体験会を実施しています。

神戸の将棋屋さんいつつでは子どもたちの将棋が楽しくなるアイテムを多数取り揃えています。

この記事の執筆者中倉 彰子

中倉彰子 女流棋士。 6歳の頃に父に将棋を教わり始める。女流アマ名人戦連覇後、堀口弘治七段門下へ入門。高校3年生で女流棋士としてプロデビュー。2年後妹の中倉宏美も女流棋士になり初の姉妹女流棋士となる。NHK杯将棋トーナメントなど、テレビ番組の司会や聞き手、イベントなどでも活躍。私生活では3児の母親でもあり、東京新聞中日新聞にて「子育て日記」リレーエッセイを2018年まで執筆。2015年10月株式会社いつつを設立。子ども将棋教室のプロデュース・親子向け将棋イベントの開催、各地で講演活動など幅広く活動する。将棋入門ドリル「はじめての将棋手引帖5巻シリーズ」を制作。将棋の絵本「しょうぎのくにのだいぼうけん(講談社)」や「脳がぐんぐん成長する将棋パズル(総合法令出版)」「はじめての将棋ナビ(講談社)」(2019年5月発売予定)を出版。

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