株式会社いつつ

将棋を楽しむ 2016年7月4日

子どもが初めて将棋大会に出るときに持つべき5つ

中倉 彰子

「明確な目標を立てること」は、何かを達成するうえで非常に大切なプロセスです。子どもの頃の勉強や習い事はもちろんのこと、大人になって働くようになってからも、ちゃんとした目標を立てているかいないかで仕事の出来が大きく左右されるなんてことも耳にしますよね。

さて、将棋の話に戻りますが、将棋の場合もやはり、「将棋強くなりたい」と漠然とした思いを胸に抱えるよりも、明確な目標を設定した方がモチベーションも高まると思います。

そして、「明確な目標を立てる」ということを目的にしたとき、「1日に詰将棋を10問解く」とか「毎日必ず3人と対局する」といった方法も良いとは思うのですが、私がオススメするのは、子どもを子ども向けの将棋大会に参加させてあげるということです。
(もちろんこういったことを習慣化していくことは重要ですよ(^ ^)詳しくはこちらの記事もご覧ください。)

例えば、「将棋大会に出て1勝する」とか「将棋大会に出て最後まで諦めずに指す」といった感じでしょうか。はじめて大会の場合は、「将棋大会に参加する!」だけでも子どもにとって大きな目標になりますね(^ ^)

では、私がなぜ子ども向けの将棋大会をおすすめするのかというと、子どものモチベーションを長く維持することができるからです。以前いつつブログでも掲載したのですが、私の子どもが初めて将棋大会に出た時、参加登録の申し込み用紙を記入している段階からもうやる気を出していました。旅行のプランを考えている時から旅行気分♪にも似ているかな?(^^)

さて、少し飛躍してしまうのですが、今回は子どもが子ども将棋大会に出場することになったと想定して、大会当日に持つべき5つをご紹介したいと思います。

1.色紙と筆ペン

佐藤名人と羽生さんの揮毫。
佐藤名人と羽生さんの揮毫。

100%そうとはいいきれませんが、子どもの将棋大会ではよくプロ棋士がゲストとして参加していることがあります。

子どもたちは日ごろから将棋教室や道場に通っていますが、プロ棋士と直接話せる機会ってなかなかありませんよね。将棋大会に参加して憧れの人と話すだけでも子どもたちにとってはいい思い出になると思うのですが、その思い出をサイン色紙という形で残しておくことで、のちのちになっても、子どもたちが将棋に対するモチベーションを上げるきっかけになります。

また、以前にいつつブログでも紹介したのですが、プロ棋士が色紙や扇子に文字を書くことを揮毫と言います。揮毫の文言はそれぞれの棋士により独自のものがあり、素敵な言葉をもらうこともまた子どもたちのやる気へとつながりますよね。揮毫してもらうのに別にボールペンやマジックでも問題ないのですが、できるなら、きちんと筆ペンを用意すると、棋士は筆ペンのほうが書き慣れていることが多いので、喜ばれると思います。

以前いつつで購入した第74期名人戦第3局の駒箱にも佐藤名人と羽生さんの揮毫があるのですが、これを見ると、鹿児島対局を思い出しますね。

※注意 イベントによっては、サインが許可されてない場合もあるので、その時は無理にねだって、棋士をこまらせないようにしてくださいね(^_^;)

2.扇子

暑さ対策はタオルと扇子で
暑さ対策はタオルと扇子で

将棋大会で欠かせないことの一つは暑さ対策です。

各会場もそれなりに季節に合わせて室内の温度を調整していると思うのですが、大会当日の熱気は想像以上です。真冬の大会でクーラーをかけなくてはならなかったという話もあるほどなんですよね。

恐らく、子どもたちが汗をかくことを想定して、タオルを持たせているというパパやママはたくさんいると思うのですが、私はここでタオルと一緒に扇子を持たせるとよりいいかと思います(^ ^)

なぜ扇子がいいのかというと、ちょっと強そうにも見えるかな?なんて笑。

ニコニコ動画でプロ棋士の対局シーンがよく配信されてますが、プロ棋士は、暑くて仰ぐ時もありますが、読みのリズムを取るというか、扇子を少しだけ開けたり締めたりして、パチっパチっとします。中にはこの扇子で、頭をパンパンとたたいて「いかんなー」なんてぼやく先生も。私も対局の時や、指導対局のときは、扇子を持ちますが、手に持っていると落ち着く感じがあります。

ちなみにですが、私はこれまで子ども将棋大会で何人か扇子を使う子どもたちを見たことがあるのですが、どういう訳かけっこう強い子が多いです、笑

3.友だち

一人より友だちがいると心強い。
一人より友だちがいると心強い。

いつもと違う雰囲気というだけでもかなり緊張するのですが、それが「初めて出場する大会」となるとなおさらですよね。

普段の将棋教室や道場でもそうなのですが、将棋大会においても「友だち」という存在が大きな役割を果たしてくれます。緊張を解きほぐすのはもちろん、「あの子よりも1つでも多くの白星を」と良きライバルにもなります。さらにお互いに勝ったとき、負けたときの喜びや悔しさを共感し合うこともできます。

やっぱり一人より二人、三人が心強いです(^ ^)

4.自信

日頃の努力が自信につながります
日頃の努力が自信につながります

対局前は、棋士でも緊張するものです。

大会前に、「ぜんぜん勝てなかったどうしよう。」とか不安になってしまいますよね。こんなときは「自信」を持っていきましょう!

次女が初めて子ども向けの将棋大会に参加したとき、会場の自動ドアがあいた瞬間「絶対勝つ!」なんて宣言して、周りを驚かせました(一番将棋の練習をしていない次女の発言だったもので^^;)。結果は・・・なのですが、根拠の無い自信を持っていくほうが楽しいかなと思います。

もちろん本来は、普段からしっかり詰将棋をしているとか、たくさん対局をしているということから出てくる自信が一番とは思います。

頑張って練習をして、その結果大会で負けけてしまっても、それはちっとも悲しいことではありません。一生懸命やってきたからこそその分悔しくて、その悔しさがバネとなりさらに努力するからこそ、さらに自信をつけることができます。

将棋というのは、悔しい思いの分だけ強くなるチャンスがあるんですよね!

5.サブバック

子どもたちにとって大切な情報がたくさん入手できます。
子どもたちにとって大切な情報がたくさん入手できます。

最後は私が実際に子どもの将棋大会に行って感じたものです。
将棋大会に参加すると、景品や将棋道場のパンフレット、次の将棋大会の案内など様々な資料をもらいます。なので手持ちのハンドバッグには収まりきらないということもしばしばあります。

確かに結構な荷物になるのですが、どれも子どもたちにとっては大切な情報。ちゃんと持ち帰り後から確認できるようにサブバッグを持っていくことをおすすめします。

将棋大会というと、ある程度強くならないと出場してはいけない、と考えている人も多いようですが、そんなことは全くありません。基本的な将棋のルールを理解し、玉を取るということができれば、初心者であっても参加することは可能です。もし、大会に出たいけど遠慮しているとか、出ようかどうか悩んでいるという人がいれば1度チャレンジしてみてくださいね(^ ^)

無理なく楽しく将棋を身につけることをモットーにした始めての将棋手引帖シリーズの2巻は、子どもたちが初めての子ども将棋大会に参加することを目標にしています( ´∀`)

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この記事の執筆者中倉 彰子

中倉彰子 女流棋士。 6歳の頃に父に将棋を教わり始める。女流アマ名人戦連覇後、堀口弘治七段門下へ入門。高校3年生で女流棋士としてプロデビュー。2年後妹の中倉宏美も女流棋士になり初の姉妹女流棋士となる。NHK杯将棋トーナメントなど、テレビ番組の司会や聞き手、イベントなどでも活躍。私生活では3児の母親でもあり、東京新聞中日新聞にて「子育て日記」リレーエッセイを2018年まで執筆。2015年10月株式会社いつつを設立。子ども将棋教室のプロデュース・親子向け将棋イベントの開催、各地で講演活動など幅広く活動する。将棋入門ドリル「はじめての将棋手引帖5巻シリーズ」を制作。将棋の絵本「しょうぎのくにのだいぼうけん(講談社)」や「脳がぐんぐん成長する将棋パズル(総合法令出版)」「はじめての将棋ナビ(講談社)」(2019年5月発売予定)を出版。

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