株式会社いつつ

将棋を楽しむ 将棋を教える 将棋を学ぶ 2017年10月25日

対局相手がいない子どもたちのためにママ・パパが出来ること

中倉 彰子

「まわりに将棋を指すお友達がいなくて困っています」
いつつの将棋教室に通うママたちから、よくこんなご相談を受けます。 地域によっては、学校や学童、幼稚園で将棋がブームとなり、クラスのみんなで将棋を指しているという嬉しいお話も聞くこともあるのですが、ほとんどの場合が、そういうわけにはいかないですよね(^_^;)

教室や道場に通っていない多くのお子さんの対局相手は、パパ(時々、ママやおじいちゃん)と、家族限定になりがちです。将棋は色んな人とたくさん指すことで棋力が上がるのに、これではなかなか強くなれないですよね。

まわりに一緒に対局をするお友だちがいないというお子さんは意外に多い
まわりに一緒に対局をするお友だちがいないというお子さんは意外に多い

そこで、今回のいつつブログでは、まわりに一緒に将棋を指すお友だちがいないという子どもたちが対局の実戦を積むための方法についてお話ししたいと思います。

とりあえずネット将棋

まず、対局実戦を積む上で1番お手軽にできるのはネット将棋です。スマホやPCでアプリをインストールするだけなのでとても簡単ですよね。

ただ、スマホやPCを使うとなると、親からしてみれば子どもがゲームに時間を費やすことを積極的に推奨しているようで、ちょっとした罪悪感を抱いてしまうかもしれません。しかしながら、長年将棋界のトップに君臨してきた、いわゆる羽生世代と呼ばれる棋士たちの牙城を、いま揺がしつつあるのが、このネット将棋に親しんだ20代の若手棋士たちなのです。

ネット将棋には、ネット将棋にしかない良さがあるのかもしれないですね。ネット将棋の上手な活用法についてはこちらの記事でご紹介しています。

ネット将棋はお手軽に対局体験を積むことができます。(将棋ウォーズより)
ネット将棋はお手軽に対局体験を積むことができます(将棋ウォーズより)。

とはいえ、「オンラインでいつでもどこでも対局できるから」といって、人と指す対局をほとんど経験しないというのは、おすすめしません。それは、ネット将棋にしかない良さがある一方で人と人で指すことでしか学べないこともいっぱいあるからです。

なので、少し負担になってしまうのかもしれませんが、もしお子さんに「将棋が好きだけど、まわりに一緒に指すお友だちがいない」という状況があるならば、ママやパパたちがちょっとだけがんばって、子どもたちがお友だちと一緒に将棋を指せるような環境を整えてあげる必要があります。

一緒に将棋を指すお友だちどうしのネットワークづくり

さて、お友だちと一緒に将棋が指せるような環境を整えるにはどうすればいいのでしょうか?
その答えの1つとして将棋を指す子どもを持つママやパパどうしのネットワークを作るという方法があります。例えば、ママやパパどうし連絡がつけば、たとえ子どもたちの通う学校や幼稚園、学童が違ったとしても、休みの日に時間を合わせて一緒に将棋を指すことができますよね。

知らない人と知り合いになるというのはちょっぴり難しく感じるかもしれませんが、「子どものまわりに将棋を指すお友達がいなくて困っている」という悩みを持つママやパパは案外たくさんいます。ここでは参考までに、将棋を指す子どもを持つママ・パパのネットワークづくりに向いた場所(将棋を指す子どもたちとその子のママやパパがたくさん集まる場所)を書いておきますね(^^)

こちらの記事も合わせてお読みください


1.将棋教室・将棋道場

同じ将棋教室・道場に通うお友だちは比較的ご近所さんの可能性が
同じ将棋教室・道場に通うお友だちは比較的ご近所さんの可能性が

王道ではありますが、子どもがもっと将棋指したいなと思った時、まずは将棋教室や道場に出向いてみるのが1番いいと思います。

将棋教室や道場でネットワークを作ることのメリットは、比較的近所に住むお友だちが集まりやすいということです。基本的に習い事は学校が終わってからいくものなので、そんなに遠くまで通うことは滅多にないですよね。家が近ければ、将棋道場や将棋教室がない日でもスケジュールを調整して会いやすいと思います。

もしかすると、将棋道場であればその場で思う存分対局することができるので、ネットワークを作る必要もないのかもしれませんが、「いきなり道場は敷居が高い!」と感じる人はきっとたくさんいると思います。そんな人は、ぜひ将棋教室からトライしてみて、子どもたちの送り迎えの合間なんかに他のママやパパたちに話しかけてみてください(^^)

将棋教室・将棋道場を探したい方は、いつつの全国将棋教室・道場検索まで

この度、いつつ将棋教室に神戸元町校に加えて東京府中校が開校しました(^^)

2.将棋大会

将棋大会もまたオススメです(^^)

子どもは将棋大会での対局を通じて仲良くなる
子どもは将棋大会での対局を通じて仲良くなる

将棋教室や将棋道場に比べて、集まるお友だちの出身地は広域になりますが、将棋大会は、なんといってもたくさんのお友だち(そしてママ・パパ)が一同に集まります。
規模や必要とされる棋力は大会により様々なのですが、大きな大会にもなると参加者は数千人にものぼり、駒の動かし方と基本的な将棋のルールさえ知っていれば参加OKと棋力による参加障壁が低いものもあるので、ぜひ参加してみてください。はじめて参加する時のアドバイスをこちらの記事に書いています。

もしかすると、ほとんど対局経験がないから、大会に出てもすぐに負けてしまうと心配される方もいるかも知れません。しかし、心配は無用です。なぜなら、大会によっては負けた子どもたちどうしで集まって指すスペースがありそこでたくさん対局をしたり、そして、私が日頃子どもたちと話していて感じることなのですが、将棋大会で一緒に対局をしたお友だちととても仲良くなったという声をよく聞くからです。つまり、子どもたちなりに将棋大会というものをとても楽しんでいるんですよね(^^)なので、将棋大会を通じて子どもどうしが仲良くなったら、ママやパパもそれに便乗しちゃいましょう、笑 せっかく大会で仲良くなったのに、そのままずっと会えなくなってしまうというのは少し寂しいですよね。

また、大きな大会に参加すれば、そこにはまた別の大会や将棋教室、将棋イベントの情報がたくさん集まっており、それらの情報が次の子どもたちの対局体験へと繋がります。これらは、別に自分でネット検索をして探し出すこともできるわけなのですが、調べた時には申し込み受付期間が過ぎていたり、イベントが既に終了しているということも多々あります。効率良く新しい情報を集められるというのも、将棋大会に参加するメリットです。

3.将棋合宿

数がたくさんあるというわけではないのですが、将棋イベントの中には将棋合宿というものもあります。合宿というくらいなので、泊まりがけで将棋を指しに行くわけですが、子どもだけで参加するものもあれば、親子で参加できるもの(親はサポート役に徹しますが、笑)があったり、また宿泊会場も普通のホテルからお寺などバラエティーに富んでいます。ちなみに、いつつブログで人気の全国将棋道場巡りで訪れた山科・小野将棋教室では、休校中の小学校で将棋合宿をしていましたね(^^)

以前参加したお寺での将棋合宿の様子
以前参加したお寺での将棋合宿の様子

合宿は、子どもたちにとっていい思い出になると同時に、一緒にご飯を食べたり、お風呂に入ったり、もちろん将棋を指したりと長い時間を共に過ごすので、参加者どうしすぐに仲良くなります。また、ママやパパどうしでも、言葉をかわす機会が多いので、将棋を指す子どもを持つママ・パパのネットワークづくりという意味ではとても適した場所だと思います。

ちなみに、今年の8月、私も兵庫県佐用町の将棋合宿に参加してきました。そこでは、親子で参加する合宿だったので、娘さんとお父さん、息子さんとお母さん、娘さんとお母さんといった組み合わせでたくさんの方が参加されていました。娘さんと参加されたお父さんは、寝る場所は違うので、ほかのお母さんに頼んだり、またその逆もあったりと親御さんどうしも、自分のお子さんだけでなく、参加者のお子さんの面倒をみる、といった感じになっていてその雰囲気がいいなと思いました。親御さんどうし、大会やイベントなどの情報交換などをしたりとネットワークを築いているようでした。

私もほかのお母さんとご飯を食べながら、展望台(この合宿は展望台で宿泊することが目玉になっているものでした!)を見学しながら、お子さんの将棋の話などをすることができました。お母さん数人が「いつつのブログを読んでいますよ!」と言ってくれました(ありがとうございます!)。また「うちは女の子で、男の子と違って、一日中将棋道場に行くほど集中する感じではないんですよね。どうすればいいのでしょうか?」などお悩みなどもききました。合宿も大会と一緒でその場限りの関係になってしまいがちですが、将棋を通じて子どもたちがせっかく良い絆を作れたのであれば、それが継続できるようにサポートしてあげるいいかもしれませんね。

実は、先日アパガード杯女子団体戦という大会で女の子二人に声をかけられたのですが、その二人は、静岡で開催されていた将棋合宿で毎年会っていた子たち。その時は小・中学生だったのですが、今はもう高校生とのことで、勉強も将棋も頑張っている彼女たちに再会できてとても嬉しかったです。

さて、本日は、「まわりに将棋を指すお友達がいなくて困っています」というママやパパに向けて、子どもと一緒に将棋を指してくれるお友だちを見つけやすい場所をいくつか紹介させていただきました。すぐに着手できないこともあると思うのですが、少しずつでいいので、誰かと一緒に将棋を指す楽しさを子どもたちに知ってもらうためにもほんの少しだけ勇気を振り絞ってみてください(^^)

お友だちとより楽しく将棋がしたい子どもたちには、子ども向けの将棋グッズを多数取り扱ういつつのオンラインショップ神戸の将棋屋さんいつつまで

この記事の執筆者中倉 彰子

中倉彰子 女流棋士。 6歳の頃に父に将棋を教わり始める。女流アマ名人戦連覇後、堀口弘治七段門下へ入門。高校3年生で女流棋士としてプロデビュー。2年後妹の中倉宏美も女流棋士になり初の姉妹女流棋士となる。NHK杯将棋トーナメントなど、テレビ番組の司会や聞き手、イベントなどでも活躍。私生活では3児の母親でもあり、東京新聞中日新聞にて「子育て日記」リレーエッセイを2018年まで執筆。2015年10月株式会社いつつを設立。子ども将棋教室のプロデュース・親子向け将棋イベントの開催、各地で講演活動など幅広く活動する。将棋入門ドリル「はじめての将棋手引帖5巻シリーズ」を制作。将棋の絵本「しょうぎのくにのだいぼうけん(講談社)」や「脳がぐんぐん成長する将棋パズル(総合法令出版)」「はじめての将棋ナビ(講談社)」(2019年5月発売予定)を出版。

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