株式会社いつつ

将棋を楽しむ 将棋を学ぶ 2017年7月28日

将棋の駒を磨くということ〜駒も心も清らかに〜

荒木 隆

突然ですが、みなさんは将棋を指すときにどんな駒を使っていますか?。プラスチック製だったり、画面の中にある駒だったり(ネット将棋のことです)という方もいらっしゃるかと思いますが、何だかんだ言って木の駒を使っている方が一番、多いのではないでしょうか?

そして、せっかく木の駒で将棋を指すなら、綺麗に手入れした駒で対局できれば気持ちが良いですね。

そこで、今回の記事では、将棋の駒の正しいお手入れの方法を紹介したいと思います。

1.手を洗ってから使う

当たり前じゃないか!というツッコミが入るのは承知の上ですが、将棋を指すときには必ず指が駒に接触します。(流石に手袋をしながら駒を触る人はなかなかいないですよね、笑)

白木で作られた駒は、使い込むことで綺麗な飴色に変化しますが、手が清潔でないとその汚れがそのまま駒に移ってしまい、指せば指すほど汚くなってしまうという悲しい状況になりかねません。将棋の駒を使う前には必ず手を洗うようにしましょう。

2.基本は空拭きで

将棋の駒を美しい状態で保つためには駒磨きを行うことが大切です。基本的には柔らかい布であれば特に問題ないと思うのですが、特に、木綿の布が最も駒磨きに適しているといわれています。

また、駒(特にツゲ材のもの)には元来、木の持つ油分が含まれているので、磨く際に何かを付ける必要はなく、空拭きするのがベストです。

磨く方法は、写真のように布を平面において、駒をスライドさせる方法が一般的です。あまり強くゴシゴシっと擦ってしまうと逆に傷んでしまうので、丁寧に優しく磨くようにしましょう。

3.椿油について

駒を磨く際に、椿油の使用を推奨する方もいます。ただし、これは専門家の間でも意見が割れており、漆が傷んでしまうので使用を控えたほうが良いと主張する方もいます。

椿油を使う場合は、一組の駒に対して1、2滴。なおかつ、年に一回程度でOKです。そんなに少なくて大丈夫?という声が聞こえてきそうですが、先述の通り本来は空拭きで構わないので、これで十分なのです。あまり付けすぎてベタベタになってしまうと、本末転倒ですよね。

4.心を落ち着かせる効果も

実は関西の奨励会(プロ棋士養成機関のようなところ)では、対局を始める前に、駒を磨くという習慣があります。また、棋士の中にも対局の前に盤を磨くことをルーティンにしている方もいます。これから自分が使う将棋用具を丁重に扱うのは当然といえば当然ですが、少し意外に思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

悟りの境地というと少し大げさかもしれませんが、駒を磨いている時間は無心になれますし、駒を磨く行為が雑念を振り払い、心を磨くことにも繋がるのではないかと思います。

日常生活でも取り入れてみると面白いかもしれません。ちょっとした息抜きになり、リフレッシュ効果も期待できそうですよね。

5.長いお付き合いだからこそ

将棋の駒は消耗品ではないので、購入すれば一生使えるものです。ゆえに、日々のお手入れが大切な意味を持ちます。

例えば、使い終わったあとの駒を片付けずに放置していると、太陽光や蛍光灯の光によって変色してしまう恐れがあります。また、湿気の多いところに保管してしまうと、カビが発生しかねません。

将棋の駒の素材はデリケートなので、杜撰な扱いをすると、どんどん劣化してしまいます。しかし、逆に言うと、正しい知識を持って手入れすることができれば、自分だけの逸品に変化していきます。長いお付き合いだからこそ、大切に扱っていきたいものです。

いつつ将棋教室でも、駒磨きをしています(^^)

将棋道具を大切にする心を育むには、まずは将棋を好きになるところから

いつつのオンラインショップ神戸の将棋屋さんいつつでは子どもたちが将棋好きになるための将棋グッズを多数取り揃えています

この記事の執筆者荒木 隆

1990年生まれ。滋賀県大津市出身。平成16年9月森信雄七段門下で「新進棋士奨励会」に6級で入会。三段まで進み、平成28年9月に退会。平成29年3月株式会社いつつに入社。奨励会員時代の将棋教室やイベントで、子どもたちへの指導の経験は豊富。

関連記事

いつつへのお仕事の依頼やご相談、お問合せなどにつきましては、
こちらからお問い合わせください。

メールでお問い合わせ