将棋を学ぶ

2016年8月12日

日本中将棋連盟会長に中将棋についていろいろ聞いてきました!

先日、いつつブログで水無瀬駒についての記事を作成したのですが、水無瀬駒は、もともと本将棋(現在行われている将棋)のためではなく中将棋に使用される駒として誕生しました。

中将棋とは、室町時代に誕生し、特に江戸時代に公家を中心に広く遊ばれたもので、現在主流となっている本将棋と比較して、盤のマス目や駒の数が多いことや、取った駒を再利用するルールがないことが特徴的です。

そこで今回のいつつブログでは、水無瀬駒で町おこしを試みる大阪府三島郡島本町で夏休み中の子どもの将棋教室と同時開催される中将棋教室の様子を紹介したいと思います。

大阪府三島郡島本町は、将棋で地域活性を試みる町です。 ではなぜ、島本町が町の活性化のツールに将棋を選択したのかというと、それは町内に将棋の...

なお今回は、日本中将棋連盟の武田穰会長にお話を伺いました。

金本:「中将棋を今日初めて拝見しました」

武田会長:「そうですね。中将棋の盤や駒自体現在では市販されていないので、中将棋に実際触れることができる中将棋教室というのは、全国的に見ても大変珍しいと思います」

金本:「中将棋と本将棋の違いは何ですか?」

武田会長:「ゲームの目的が敵の玉将(または王将)を取るということ以外は、異なる点がけっこうありますよ。まず中将棋で使用するのは12×12の盤、駒も21種類92枚あります。また、中将棋でも『成る』という概念はあるのですが、『成れる』のは本将棋とは異なり敵側から数えて4段目。玉将が取られても太子(酔象が成ったもの)が残っていれば、太子を玉将や王将の代わりとして扱うため負けにならないという面白いルールもあります」

金本:「確かに駒の枚数が多いので初期配置や駒の動きを覚えるだけでも大変そうですね。また、先ほど出た酔象以外にも面白そうな駒がたくさん見受けられます。」

武田会長:「そうですね。仲人や麒麟、猛虎など本将棋にはない駒がたくさんありますね。色んな駒がありますが、中将棋の駒の中で強いのは奔王と獅子の駒です。奔王はチェスのクイーンのような動き、獅子は本将棋の玉将二回分の動きができるんですよ。」

金本:「なかなか難しそうですね。今回の中将棋教室は小学生以上であれば参加できるようなのですが、実際に小学生で中将棋を指す子どもさんはいますか?」

武田会長:「はい、います。もちろん最初は動き方の表を見ながらやるのですが、数回将棋教室にくるうちに中将棋のルールも駒の動かし方もみんなしっかり覚えてくれます。」

子どもたちと中将棋の二面指しをする武田会長。
子どもたちと中将棋の二面指しをする武田会長。

金本:「ちなみに、駒を並べるだけでも大変そうなのですが、1局しようと思うとどれくらい時間がかかりますか?」

武田会長:「大人どうしで指して2・3時間といったところでしょうか。勝敗を決するのに本将棋の倍くらいの手数がかかります。」

金本:「そうなんですね。中将棋のゲームとしての面白さはどこにありますか?」

武田会長:「本将棋よりも実力の差が出にくいといったところでしょうか。現在、中将棋の愛好家は全国でおよそ100人ほどいるのですが、その中には数名本将棋のプロ棋士の方もいらっしゃいます。もちろんプロ棋士の方は中将棋をしてもそこそこ強いのですが、取った駒の再利用がない分、『圧倒的』というわけにはいきません。毎年行われる全国大会では、アメリカ人の方が優勝したなんてこともありますよ。」

金本:「全国大会もあるんですね。競技人口はどれくらいになるのでしょうか?また、先ほど中将棋の盤や駒は市販されていないとのことでしたが、参加者はどのように中将棋の研究などをするのでしょうか?」

武田会長:「全国大会の出場者は毎年20人くらいです。実際に盤・駒を使って練習する機会は確かに少ないかもしれませんが、ネット普及などの影響もあり、オンラインで研究や練習をする人が多いです。」

金本:「中将棋教室をきっかけに本将棋と同様、たくさんの人に認知されるようになるといいですね」

武田会長:「第二次世界大戦前後に一時はなくなりかけた中将棋ですが、大山康晴棋士の尽力などもあり、プロ棋士の中で中将棋に興味を持ってくれる方も現れました。爆発的にというわけにはいきませんが、今じわりじわりと中将棋も認知されているところなんだと思います。

先日、東京ビッグサイトで開催されたアナログゲーム祭典『ゲームマーケット2016』で中将棋の出展をしたのですが、たくさんの方が中将棋に興味を示してくれたので、非常に嬉しく思います。」

〜編集後記〜

島本町の将棋教室は、平日の昼間の開催であるにもかかわらず、中将棋教室と合わせて50人を超える子どもたちやママパパが集まっていました。

また、教室が始まる前から小学生くらいの子どもたちが駒を並べて対局を始めたり、指導係としてきていたおじいちゃんと中学生くらいの男の子や、同じく指導係の男性と子どもを連れてきたパパが真剣な表情で将棋を指している姿を見て「本当に将棋のまちなんだなぁ〜」と実感しました。

教室が始まる前から駒を並べて対局を始める子どもたち。
教室が始まる前から駒を並べて対局を始める子どもたち。

今回の取材を通して特に印象的だったのは、日本将棋連盟公認棋道指導員であり、本将棋教室当日の指導員を務めていた南里充さんのお話です。

南里さんによると、現在子どもたちに将棋を普及する上で深刻な問題の1つとして、高齢者と子どもを繋ぐ30〜50代のミドル世代の指導員が不足していることが挙げられるそうです。

「昔と比べて数は減ったとはいえ、現在でも将棋を指す子どもは結構います。しかし、子ども以上に減っているのが将棋道場なんです。昔は、仕事帰りに将棋道場に寄り、2〜3時間くらい指してから家路につくということがざらだったんですが、今では一家に1台はパソコンがあるので、うちに帰ってネット上で対局するのが主流になりました。

誰もが道場に足繁く通っていた頃には、対面で対局をした時などに子どもたちに将棋の戦術などについて教えるという機会もあったのですが、今ではそうした場面がほとんどなくなってしましい、現状、定年退職後のご高齢者の方々が私たち世代の代わりをしてくれているといった状況です。

しかし、日本伝統文化である将棋を伝承するということであれば、本来なら私たちの世代が、高齢者と子どもたちの橋渡し役をしなくてはなりません。」

子どもたちに将棋の指導をする南里さん。
子どもたちに将棋の指導をする南里さん。

先日、いつつブログでも紹介したのですが、世代間を超えて楽しめるのが将棋のいいところの一つです。

昨今では核家族化などの影響により、 夕食どきに家族みんなで1つのちゃぶ台を囲むようなアナログなコミュニケーションの機会がめっきり減少してし...

いつつは昨年設立ばかりのまだまだ若い会社で、どこまでのことが出来るかは未知数なのですが、子どもたちに日本の伝統文化の魅力を伝えていくことを目標に掲げるものとして、少しでも子どもたちに将棋を伝承していくための橋渡し役が担えたらなぁと改めて思いました。

将棋の魅力を伝承していくには橋渡し役が必要
将棋の魅力を伝承していくには橋渡し役が必要

最後になりましたが、今回の取材は、普段いつつブログを見てくださっている島本町「水無瀬駒」による地域活性化事業実行委員会の中田みどりさんにお声がけいただいたことががきっかけです。

地域活性化事業実行委員会として、子どもたちに将棋が指せる場所を提供するだけでなく、こち亀や3月のライオン、ナリキンといった将棋漫画や将棋シーンが登場する漫画を準備したり、いつつのブログを紹介してくれたりと、子どもたちが楽しく将棋に触れるための様々な工夫をする中田さんの姿を見て、「このような人たちが、いつつのやりたいことを支えてくれているんだなぁ」と実感しました。

この場を借りてではありますが、中田さんおよび、島本町「水無瀬駒」による地域活性化事業実行委員会の皆さまに、貴重な体験をさせていただいたこと、心より感謝いたします。

いつつ将棋教室はいつつが運営する子ども向けの将棋教室です。体験会も実施していますのでお気軽にご参加ください(^^)

中将棋も楽しそうだけど、まずはお子さんに本将棋をはじめてもらいたいと思ったら、子ども向けの将棋グッズを多数取り扱ういつつのオンラインショップ神戸の将棋屋さんいつつまで

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この記事の執筆者金本 奈絵

株式会社いつつ広報宣伝部所属。住宅系専門紙の編集記者を経て現在に至る。

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