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勝負の世界に出来るもう一つの家族。将棋界の師弟関係とは

 最近、藤井聡太六段と杉本昌隆七段の師弟対決が話題になりましたよね。

実は、プロ棋士を目指すには、藤井六段と杉本七段のように、必ず師弟関係というものを結ぶ必要ががあります(女流棋士は、場合によっては師匠がいないこともあります)。

師弟関係とは、もちろん師匠と弟子との関係を指しますが、将棋で師弟関係を結ぶ場合、師匠は必ずプロ棋士でなくてはならず、また、頼めば誰でも弟子になれるという訳ではなく、将棋教室や将棋道場の講師の推薦を受け、師匠となるプロ棋士の先生に「この子はプロ棋士になるだけの資質がある」と認められてはじめて弟子になることができます。

将棋教室や将棋イベントの時に、親御さんからよく「将棋の師匠とはコーチのようなものですか?」という質問を受けるのですが、コーチとは違います。師匠というのは将棋界での親みたいな存在、というほうが近いと思います。

師匠との思い出

私の師匠は堀口弘治七段です。

私が堀口七段に初めてお会いしたのは高校3年生のとき。地元府中道場の席主の先生に紹介していただき、少しお話をして、「はい。いいですよ。」、という感じだったと思います。このとき、とても緊張していたのを今でもよく覚えています。

将棋の場合、一概に「師弟関係」といっても、その在り方は本当に様々です。

例えば、自ら研究会を催し積極的に弟子と将棋を指す師匠もいれば、その一方で、自分の癖が弟子に悪い影響があるのではと慮って弟子とは一切指さないという師匠もいます。また、昔は、「師匠が将棋を教えるのは最初と最後だけ」という話もきいたことがありました。これは、師匠が弟子と将棋を指すのは、入会のための棋力診断と、プロになれなかったときの最後の思い出としての2回だけだったという言われからきています。さらに、弟子の方からしてみても、自分の好きな戦法を極めるために、わざわざその戦法を得意とする棋士のもとに師匠になってもらうようお願いしに行くということもあります。

なので、私が1番弟子ということもあり、堀口七段が師匠としてどのように弟子である私に接して行くべきなのか非常に悩んだことかと思うのですが、本当にいろいろと気を配っていただきました。

当時師匠が将棋連盟の理事職も担っており、本当に多忙だったにもかかわらず、研究会も開いてもらったり、師匠から将棋もたくさん教わりました。また、将棋以外でもお正月などには、師匠のご自宅にもお招きいただき、師匠の奥さんや姉妹の可愛い娘さんたち師匠のご家族にも大変よくしていただいていたので、毎回遊びに行くのが本当に楽しみでした(^ ^)

特に師匠の奥様はとても明るいかたで、当時の私の若き日のプライベートな悩みまで相談していました、笑。

先日、師匠の娘さんのうち、1人は立派な社会人・もう一人は大学生になったときいて、月日が立つのは早いものだなぁとしみじみ感じました。

私が師匠のもとに入門して以来、妹の宏美(中倉宏美女流二段)、そして女流棋士の山口恵梨子(女流二段)さん・貞升南(女流初段)さんも師匠のもとに弟子入りし、私にも姉妹弟子ができました。

昨年、師匠が引退された時に、一門で集まり集合写真を撮りました。近況を語ったり、師匠から将棋の歴史のお話や師匠が考案したはさみ将棋を実際に遊んでみたりと、楽しい時間でした。

一門で撮影した記念写真
一門で撮影した記念写真

師弟関係は将棋の家族

将棋は1人で戦う世界ですし、コーチもいません。そんな中、家族意外に、なにかあれば相談したり、手放しで応援や活躍を喜んでくれる存在がいるというのは、とてもありがたいし、精神的な支えにもなります。

将棋界には「下にかえしていく」という文化があります。先輩がご馳走する、するとご馳走された後輩は、今度はさらに下の世代にご馳走するといった感じです。弟子をとるということも、そういうことなのかもしれません。

例えば、弟子の対局料の一部が師匠にいくというような、師匠にとって目に見えて得をするようなメリットは一切ありません。なので、師匠は弟子をとると、心配ばかりです。私も師匠には心配ばかりかけてしまったような気がします。

人間関係が希薄になった昨今ではありますが、将棋の世界では、厳しい勝負の世界ではありますが、一方で家族のようなつながりもまたあるような気がします。

師匠と弟子。

私にとって、それはとても温かい縁です。

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