株式会社いつつ

将棋を楽しむ 2025年5月1日

「将棋で勝ちたい…!強くなるためには何が必要?」

中倉 彰子

将棋を始めたお子さんを持つ保護者の皆様、「子どもが将棋で勝てるようにしてあげたい」と思っていませんか?
「勝てない」という経験は、とてもつらいものかもしれません。

ルールを覚えたばかりの子がすぐに勝つことは、実はとても難しいものです。何度も負けが続けば、やる気を失い、「やめたい」と感じてしまうのも無理はありません。

将棋は奥深く、勝つためには様々な要素が絡み合っています。

今回のブログでは、将棋で勝つために必要なこと、そして強くなるための環境づくりについてお話しします。

将棋で勝つために必要なこと

将棋で勝つためには大きく3つの要素が重要になります。

1つ目が棋力です。
棋力とは将棋の強さのことで、最も重要な要素になります。
具体的には、
①「戦法・手筋の知識」を増やすこと、
②「終盤力(寄せの技術)」をつけること、
③「読みの力」をつけること
によって強化することができます。これらは日々の勉強や実戦を通じて少しずつ伸ばしていけます。

2つ目が集中力です。集中力は普段の勉強の中でも身につきますが、将棋は勝負事ゆえに負けないよう集中して対局に臨むことで身につけることができます。対局中、盤面に集中し、自分の狙いや相手の一手を読む集中力も、勝つためには欠かせません。

3つ目が精神力(メンタル)です。集中が切れると、ミスをしてしまうことがありますが、そこで重要になってくるのが安定した精神力なのです。具体的には、
①大会や重要な一局でも普段通りに指せる冷静さである「緊張に打ち克つ力」、
②劣勢でも最後まで最善を尽くす姿勢である「諦めない心」
③勝っても負けても、次に切り替える力である「勝敗を引きずらない心構え」
の3つです。

これらは実戦経験が大きく、日々の練習や大会での対局に緊張感を持ち、真剣に臨むことで少しずつ鍛えられていきます。教室内で開催している小さめの大会から出場し、大きな大会に出るなども有効かと思います。


3要素を伸ばしていくためには何が必要か?

では、これらの3要素を伸ばしていくためには何が必要なのでしょうか。

それは環境を整えることです。

ここでいう環境とは、
①対局の質と量を確保できており、
②モチベーションの向上・維持ができる場
のことです。質の高い指導を受け、十分な量の対局をこなせる環境がお子さんの3要素を伸ばすこととなります。

また、将棋を楽しみ、常に向上心を持って取り組める環境が、それらの成長を加速させます。
ご家庭での練習も大切ですが、こうした環境を整えることはご家庭だけではなかなか難しいものです。

そして「いつつ教室」はこれら3つの要素を伸ばす環境が整っています。
まず、対局の量と質についてです。

①実戦の機会を設けています。
指導者との対局はもちろん、普段のレッスンでの対局・教室内の大会やオンラインのリーグ戦や大会を開催し、実戦経験を積むことができます。外部の大会も保護者へご案内しています。
こうした実戦を数多く経験することで、本番の大会で過度に緊張することなく普段の力を集中しながら発揮することができます。

②経験豊富な指導者が、指導対局を行います。
対局の際は、すぐに答えを教えるのではなく、生徒自身が考え、答えを導き出す形式をとることで「考える力」を鍛えます。感想戦(振り返り)においても、生徒さんと一緒に良かった点や改善点を明確にし、次の対局に活かせるように指導しています。
また、教室での対局結果を踏まえ、各個人に適した自宅練習メニューの提案も行なっています。いつつ図書館には将棋の本がたくさんあるので、おすすめの書籍を渡したり、詰将棋や必至問題、プロの棋譜並べ、定跡勉強などについて、具体的な練習方法を紹介するようにしています。



次に、モチベーションの向上・維持を可能とする工夫についてです。

①レベル別のクラスをご用意し、お子さんのレベルに合わせた指導を行なっています。
レベル別にすることで、下のクラスが上のクラスに憧れを持ち、頑張ることができます。また、棋力に差がありすぎると、強い方が駒をたくさん落とすことになり、強い方のモチベーションが下がることがあるため、その点でも同じくらいの棋力の人と対局できるのは良いと考えています。

②講師との指導対局・生徒同士の実戦
講師との指導対局で、課題や良い点などを教えてもらいながら、他の生徒との対局で切磋琢磨することができます。
生徒同士の対局も続くとマンネリ化してしまうことになるので、3ヶ月に1回ほど、「王将リーグ」「王位リーグ」などプロの棋戦と同じタイトル名をつけ、リーグ戦を戦います。リーグ内で優勝すると、その生徒さんのお名前を貼り出しています。
タイトルを取った子は、その期間「○○王将!」と呼ばれます!

③マイ駒作り・色別対抗戦・詰将棋作り、詰将棋カルタ大会などお楽しみプログラムを開催し、勝ち負けだけではない楽しめるプログラムを毎月行っています。
普段なかなか勝てない生徒さんも、マイ駒作りで上手に作ったり、カルタではすごく早く取ることができると楽しそうです。


いつつ教室ではこうした環境を整えることで、お子さんにただ将棋の知識を学んでいただくだけでなく、対局をする以外でも必要な思考力や集中力、精神力がつくように意識して指導をしています。

また、本ブログでは勝つために必要な3要素についてお話ししてきましたが、能力面以外で重要なことが1つあります。
それが「勝つまで続けること」です。
負けが続いていたとしても、続けていれば成長している部分が必ずあります。将棋は奥深いもので、序盤・中盤が上達していても、勝ち負けに直結する終盤力がないと勝てません。「いつつ」を含む子ども将棋教室でも、なかなか勝てずに悩んでいるお子さんは少なくありません。先生との指導対局では駒落ちで勝てるように工夫し、成功体験を積んでもらっていますが、生徒同士の実戦では、なかなか勝てない……というケースも多くあります。ここで諦めてしまう子もいるのですが、それはとても勿体無いです。

実際にあったマイペースなAくんのお話をさせていただきたいと思います。
Aくんはとても印象に残っている生徒さんの1人です。電車が大好きで、教室の窓から見える電車を眺めるのが楽しみのひとつ。おしゃべりも大好きで、先生にも人懐っこく話しかけてくれる、とても明るい男の子です。
ただ、将棋の対局では、なんと「30連敗中」でした。それでもAくんは、将棋をやめようとはしませんでした。というのも、ご家庭でお父様が根気強く、練習対局に付き合ってくださっていたからだと思います。
教室でも、通常の「手合いカード(将棋や囲碁の対局の記録を残すもの)」に加えて、「よく指せたら⭕️」「マナーが守れたら⭕️」といったように、勝敗以外の良い点を積極的に評価し、励みにしてもらう工夫をしていました。
実はAくん、序盤や中盤の指し方はどんどん上達していました。ただ、「詰ませ方(終盤力)」がまだ十分に身についておらず、なかなか勝ち切れない状態が続いていたのです。「終盤のコツをつかめれば……」と、私たちも温かく見守っていました。
そして——。将棋を始めてから約4ヶ月後、ついに初勝利を飾りました。その日は自信がついたのか、連勝を重ね、さらに6ヶ月後には1日で4連勝をするまでに成長! 講師陣も目を見張るような変化を見せてくれました。


このように、将棋の上達スピードには本当に個人差があります。すぐに勝てるようになる子もいますが、ある子は時間をかけて、じっくりと力をつけていきます。
特に序盤や中盤の指し方が良くなってきたとしても、それは勝ち負けの結果には現れにくく、成長が見えにくい時期があるため、保護者の方からは分かりづらいこともあるかもしれません。
けれど、たとえ勝てない日々が続いていたとしても、お子さんが将棋を楽しんでいるようであれば、それは大きな可能性の芽です。お子さん自身が勝てるまで続けること、そして保護者の方々がそれをあたたかく見守ることが大切かなと思います。

お子様に将棋が強くなってほしい方、お子様の思考力や集中力・精神力を鍛えたい方は、ぜひ一度、当教室「いつつ」の体験授業にお越しください。




この記事の執筆者中倉 彰子

中倉彰子 女流棋士。 6歳の頃に父に将棋を教わり始める。女流アマ名人戦連覇後、堀口弘治七段門下へ入門。高校3年生で女流棋士としてプロデビュー。2年後妹の中倉宏美も女流棋士になり初の姉妹女流棋士となる。NHK杯将棋トーナメントなど、テレビ番組の司会や聞き手、イベントなどでも活躍。私生活では3児の母親でもあり、東京新聞中日新聞にて「子育て日記」リレーエッセイを2018年まで執筆。2015年10月株式会社いつつを設立。子ども将棋教室のプロデュース・親子向け将棋イベントの開催、各地で講演活動など幅広く活動する。将棋入門ドリル「はじめての将棋手引帖5巻シリーズ」を制作。将棋の絵本「しょうぎのくにのだいぼうけん(講談社)」や「脳がぐんぐん成長する将棋パズル(総合法令出版)」「はじめての将棋ナビ(講談社)」(2019年5月発売予定)を出版。

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