株式会社いつつ

連載:東京新聞「子育て日記」 2018年4月10日

わが子に教える難しさ

中倉 彰子

先日、小学一年生の長男シンがお世話になっている学童クラブで将棋の講義をしました。

部屋に入ると、低学年を中心に、50人ほどの子どもたちが遊んでいました。私が講義用の大きな盤と駒を取り出すと、物珍しそうに集まり、「あれ?だれのお母さん?」と私の顔を覗き込みます。

将棋クイズの後、人数が多かったのでチームで対局。厚めの木の盤を持参したので、私と彫り駒で一手ずつ交代でさすという体験をしてもらいました。シンはちょっと照れくさそうでしたが、学童内では翌朝から、将棋がブームになっているそうです。ヤッター!

最近の課題である、次女のマキの将棋熱はというと、なんとか持続しています。先日は、シンと一緒に東京・千駄ヶ谷の将棋会館に行き「道場デビュー」を果たしました。シンも嬉しそうで、「いつも、ここでお昼を食べるんだよ。」などと、ちょっと先輩風を吹かしていました。

先日、シンとマキと一緒に将棋会館に行きました。
先日、シンとマキと一緒に将棋会館に行きました。

マキは4局指して全敗。「トワイス戦法」と名づけた攻撃の戦法「棒銀」でいい所まではいくのですが、一歩届かず。また将棋をきらいにならないか心配しましたが、夜になると「ママ、将棋やろう」と言ってくるようになったので大丈夫そうです。私とは、駒落ちというハンディ戦で指し、アドバイスをもらいながらも、勝てるので楽しいのでしょう。

将棋アニメの影響で、駒を顔の高さまで持ち上げ、左右に振ってからパチリ。形から入ると、棋力より手つきの方が上達が早いのは、姉弟で似ています。ちょっと自信がついてくると、パパに「将棋しよう。」と対局を申し込みました。

夫はよそ様の子供にはユーモアたっぷり、楽しく教えられるのですが、自分の子どもにはできません。シンには「むやみに駒を触らない!」「なんだこの手は。もっとしっかり考えなさい」と、口調が厳しくなります。後で私に「こんな教え方じゃ将棋嫌いになっちゃうな」と反省しているのですが…。

案の定、マキにも厳しくなり、泣かせてしまいました。マキは、「二回も負けた。勝たしてくれると思ったのに~」やはり、まだ早かったか。果たしてマキは将棋を続けてくれるのでしょうか。

長女のマイはこの春、中学生になります。「スマホを持ちたい」と言い出し、どうしたら良いものか考え中です。子育ての悩みは尽きませんね。

この記事の執筆者中倉 彰子

中倉彰子 女流棋士。 6歳の頃に父に将棋を教わり始める。女流アマ名人戦連覇後、堀口弘治七段門下へ入門。高校3年生で女流棋士としてプロデビュー。2年後妹の中倉宏美も女流棋士になり初の姉妹女流棋士となる。NHK杯将棋トーナメントなど、テレビ番組の司会や聞き手、イベントなどでも活躍。私生活では3児の母親でもあり、東京新聞中日新聞にて「子育て日記」リレーエッセイを2018年まで執筆。2015年10月株式会社いつつを設立。子ども将棋教室のプロデュース・親子向け将棋イベントの開催、各地で講演活動など幅広く活動する。将棋入門ドリル「はじめての将棋手引帖5巻シリーズ」を制作。将棋の絵本「しょうぎのくにのだいぼうけん(講談社)」や「脳がぐんぐん成長する将棋パズル(総合法令出版)」「はじめての将棋ナビ(講談社)」(2019年5月発売予定)を出版。

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