株式会社いつつ

将棋を楽しむ 2016年11月17日

対面で将棋を楽しめる場所5つ〜対アプリから対人へ〜

中倉 彰子

以前、いつつブログの読者の方から、「将棋を好きになったきっかけは、たまたま暇なときにスマホのアプリでやり始めたことです。そろそろアプリではなく、対面で人と指したいなぁと思うのですが、今までコンピューターとしか対戦したことがなく、対局マナーや礼儀的なことを全く知らないので、道場を始めとした人が集まるところに行くのはどうも気がひけます。また、自分の棋力がどこまで通用するのか分からないので、弱すぎて対戦相手の方に申し訳ないのではないかと心配です。」というご意見をいただきました。

かつては、将棋を指そうと思ったら「まずは将棋道場へ」というのが主流でしたが、時代の流れとともに現代人は忙しくなり、これまでの道場のポジションが、365日24時間いつでも自分の好きなときに将棋ができるスマホアプリなどの文明の利器に取って替わられるようになりました。今では、アプリをきっかけに将棋を覚えたという人もたくさんいると思いますし、昔ほど道場に馴染みがあるわけではないので、本当は誰かと将棋を指したいと思っていたとしても、その1歩がなかなか踏み出せないというのも頷けます。

そこで今回のいつつブログでは、対アプリから対人間へのハードルを少しでも低くするために、対面で将棋が指せる場所の種類と特徴、そしていく前にどんな準備をしておくとより対面での将棋が楽しめるのかについてご紹介したいと思います。

一様に「アプリから対面に移行するのは不安」といっても、何がどう不安なのか、なぜ対面での将棋を始めたいのかは人それぞれ違うと思いますので、ぜひ今回の記事を参考に、自分にあった対面将棋ができる場所を探してみてください(^ ^)

1.まずは将棋教室へ

対面で将棋を指したくなったら、まずは将棋教室へ
対面で将棋を指したくなったら、まずは将棋教室へ

趣味や習い事の一環で将棋をする場所として、一般的には将棋教室と将棋道場の2種類があります。将棋教室と将棋道場の大きな違いは、将棋教室は初心者向けのコースなどもあるので、有段者でなくても誰でも気楽に参加できるというところです。なので、冒頭のお悩みにもあったように「将棋におけるマナーを知らない」や「自分の棋力が低すぎて相手に迷惑をかけるのではないか心配」という不安がある人には、1から丁寧に指導してもらえる将棋教室がオススメです(^ ^)

2.とにかく色んな人と指したいという人は道場へ

とにかく将棋をたくさん指したい人は将棋道場へ
とにかく将棋をたくさん指したい人は将棋道場へ

アプリでもそこそこ勝っているし、初心者コースでは少しもの足りないかもという人には将棋道場がオススメです。将棋道場は教室と違って、決まった曜日の決まった時間に開講されるわけではなく、営業時間内であれば、好きなだけ指すことができるのが特徴です。

道場に通いたい人への私からのアドバイスは3つです。

まず、道場に入会する前に必ずといっていいほど聞かれるのが「棋力はどれくらいですか?」という質問です。棋力がどれくらいかと聞かれても、級を持っているわけではないので正確に分からないというのが本音かと思いますが、そこは「将棋ウォーズ(スマホ用将棋アプリ)○級です」と今使っているアプリでどれくらいかというのを答えてもらえばOKです。それで大体の棋力は道場の方に伝わるので、対戦相手の棋力に合わせて適宜手合いをつけてくれます。

アドバイスの2つ目は、先ほど道場側で適宜手合いをつけてくれるといいましたが、道場には「駒落ち」という制度があることを知っておく必要があります。駒落ちとは、上位者が自分の駒のうちの何枚を抜いてハンデキャップを付けることなのですが、道場では、相手に駒を落とされることもあれば、自分が駒を落とさないといけないこともあります。「平手の方がやり慣れている」「大きなハンデキャップを付けられると悔しい」など、色々思うところがあるとは思いますが、以前にいつつブログで取り上げた菊池寛もいっていたように、駒落ちでの対局をこなすこともまた棋力アップにも繋がります。

そして、3つ目のアドバイスは、入会前に道場にどれくらいの棋力の人が通っているのか事前に連絡して確認するということです。実は道場の中には有段者クラスの強者ばかりが集まっているところもあります。対面での将棋に興味を持って道場に行ったのはいいものの、全く歯が立たない相手との対局が続いて将棋自体が嫌になってしまっては本末転倒ですからね(^_^;)

3.プロ棋士による指導対局に参加する

指導対局では、プロ棋士の所作や指し手を体感できる
指導対局では、プロ棋士の所作や指し手を体感できる

将棋教室や将棋道場もいいけど、どうせ指すなら憧れの人と指したいなという人にはこちらがおすすめです。

プロ棋士の方は、ピシッと駒を指したりなど、皆さん将棋における所作がとても綺麗です。こうした、美しい所作を目の前で見れるというのも対面でならではの体験かと思います。

また、当然ではありますが、プロ棋士は将棋の礼儀作法にとても詳しいです。例えば、駒袋から駒を出すのは一般的には上手の役目なので、指導者が先に駒袋から駒を出すまで待ったり、相手が王将をとってから自分の玉将を持つなど少し予習をしていくと、「お、この人将棋をよく知っているな」といい心象を持たれると思います。

ちなみに、プロ棋士の指導対局でも、将棋道場同様に棋力を確認して駒落ちで対局をするのですが、この場合も「将棋アプリで○級です」と相談してみるといいと思います。また、指導対局の後には感想戦もあるので、ぜひこちらも楽しんでみてください(^ ^)

4.将棋大会に参加してみる

子ども将棋大会に参加すれば、たくさんの将棋友だちができる
子ども将棋大会に参加すれば、たくさんの将棋友だちができる

冒頭でも申し上げたのですが、アプリでも棋力を上げることは可能です。せっかくアプリで培った自分の棋力がどんなものか確かめたいという人には将棋大会がオススメです。

実は将棋大会は子どもから大人、上級者から初級者まで、レベルに合わせて色々あります。1度に将棋とういう共通項を持った人がたくさん集まるので、将棋友達が作れるというのも将棋大会のいいところです。

将棋大会で参加する際に気をつけておきたいポイントはチェスクロックの使い方を予習しておくということです。特に、アプリで将棋をしている人が自前のチェスクロックを持っているということは少ないと思うので、大会に出て突然チェスクロックが登場したらちょっぴり驚きますよね(^_^;)

ちなみに、チェスクロックの注意点は、着手した手でチェスクロックのボタンを押す、というところです。子供でも、慌ててしまって、右手で指して、左手でボタンを押してしまう子がいます。「着手した手でボタンを押す」と知っておくといいと思います。あと、チェスクロックの置き場所ですが(右側か左側か)後手のほうが、チェスクロックの場所を選べます。よくあるのは、右ききの方は、右側に置くことが多いです。

何も知らなければ、右手で駒を指してから左手でチェスクロックを押してしまうくらいのことはやってしまいそうだし、そうしたからといっていきなり反則負けになることはありませんが、やはりルールをしっかり守って指した方が相手も自分も気持ちがいいというもの。それに何より使い慣れない道具で自分の実力が十分に発揮されないというのは悔しいですよね。

5.地元の将棋部・将棋サークルに参加する。

将棋を世代間交流のきっかけに
将棋を世代間交流のきっかけに

こちらも1番の将棋教室と同様にとても気軽に参加できるという点でいいと思います。私も仕事の一環で府中市役所の将棋部の地域の将棋活動に参加していますが、普段コミュニケーションを取れない世代と話ができるいい機会になっています。

さて、今回のいつつブログでは、対面でのリアル将棋が楽しめる場所と、そこで対面将棋を楽しむためのポイントをいくつか紹介してみたのですがいかがでしたでしょうか。顔が見える相手と将棋を指すことで大切な仲間ができたり、ライバルと切磋琢磨できるなど、私個人としては対面での対局でしか味わえないいいところがたくさんあるんじゃないかなぁと思います。

私自身も子どもの頃から将棋道場に通っていたのですが、人生の先輩たちから、将棋はもちろんのこと、将棋以外の色んなことについて教えてもらったことはとてもいい経験だったと思うし、それにこの体験は人と人でコミュニケーションをとる道場だったからこそできた体験じゃなかったのかなぁと思います(^ ^)

これまではリアルからアプリへという流れに押されつつありましたが、これからはアプリからリアルへという新しい潮流ができればなぁと思います(^ ^)

対面で将棋を指したくなったらいつつ将棋教室へ。体験会も実施していますのでお気軽にご参加ください(^^)

いつつのオンラインショップ神戸の将棋屋さんいつつでは、対面で将棋を楽しむための将棋グッズを取り扱っています。

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この記事の執筆者中倉 彰子

中倉彰子 女流棋士。 6歳の頃に父に将棋を教わり始める。女流アマ名人戦連覇後、堀口弘治七段門下へ入門。高校3年生で女流棋士としてプロデビュー。2年後妹の中倉宏美も女流棋士になり初の姉妹女流棋士となる。NHK杯将棋トーナメントなど、テレビ番組の司会や聞き手、イベントなどでも活躍。私生活では3児の母親でもあり、東京新聞中日新聞にて「子育て日記」リレーエッセイを2018年まで執筆。2015年10月株式会社いつつを設立。子ども将棋教室のプロデュース・親子向け将棋イベントの開催、各地で講演活動など幅広く活動する。将棋入門ドリル「はじめての将棋手引帖5巻シリーズ」を制作。将棋の絵本「しょうぎのくにのだいぼうけん(講談社)」や「脳がぐんぐん成長する将棋パズル(総合法令出版)」「はじめての将棋ナビ(講談社)」(2019年5月発売予定)を出版。

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