株式会社いつつ

将棋を学ぶ 2026年5月3日

と金は金と同じで金以上!?

中倉 彰子

一番弱いからといって「歩」をあなどってはなりません。

将棋には「と金は金と同じで金以上」という格言があります。歩は成ることで金と同じ動きをする「と金」にパワーアップしますが、相手に取られたときには元の「歩」に戻ります。一方、「角」や「飛車」といった大駒は非常に強力な駒ですが、ひとたび取られれば自軍の戦力が落ちるだけでなく、敵の戦力を大幅に増強させてしまう「諸刃の剣」でもあります。その点「と金」は、そうしたリスクを最小限に抑えつつ最大の効果を発揮できる、非常に「コスパの良い」駒と言えます。

とはいえ、逆に相手が自分の陣地に侵入してきた「と金」は非常に厄介な存在となります。そんな特徴をもつ「と金」は「マムシのと金」と呼ばれています。

いつつの学べる将棋のことばッジ「マムシのと金」イラスト

さて、ここまでで「と金」がなんとなくすごいんだと思っていただけたかと思います。本ブログではそんな「と金」の作り方についてお話しします。

「と金」は、最初から盤上にある歩を「一歩ずつ前に進めていく」ことでも作ることができます。しかし、「歩」は足が遅いので敵陣にたどり着くまでに何手もかかってしまい、その間に相手に対策されてしまうことも少なくありません。いくらコストパフォーマンスに優れた駒でも、たどり着くまでに時間がかかりすぎては本末転倒ですよね。

そこで覚えておきたいのが、「垂れ歩」です。


「垂れ歩」とは、持ち駒にある歩を、敵陣の少し手前(3段目や4段目)に打つ手のこと。これを打っておくと、次にその歩を進めるだけで「と金」になれるため、非常にスピーディーに敵陣を脅かすことができます。駒落ちの将棋を指した際に、上手な人に垂れ歩をたくさん打たれて負けてしまった……という経験がある方も多いのではないでしょうか?

まさに「と金」を作るための最短ルート、それが「垂れ歩」なのです。ただ、「どんどん垂れ歩を打とう!」 と思っても、実はクリアしなければならない条件が2つあります。

1つ目の条件は持ち駒に「歩」があること、2つ目の条件が「二歩」にならないこと、です。

1つ目は、無いと打てませんという当然の条件なので説明は割愛させていただきますが、特に重要なのが2つ目の「二歩」です。「二歩」というのは、縦の列に2つ以上「歩」を置くことができない、というルールです。

将棋の初期配置では、すべての縦の列に「歩」が並んでいますので、そのままでは盤上の「歩」が邪魔をして、新しい「歩」、つまり「垂れ歩」を打つことができません。

そこで必要になる考え方が、「歩を捨てる」ということです。

なんだか不思議な理屈ですが、自分の盤上の歩をあえて相手に取らせることで、その筋の「歩」が無くなりますよね。そうすると、そこに新しい「垂れ歩」を打ち込むことができます。一見「歩を捨てる」というのは勿体無いように見えますが、それによって最強のコスパ駒「と金」が手に入ると考えれば、安いものですよね。

ぜひこれからの対局で、勇気を出して「歩」を捨て、「垂れ歩」を打ち、「と金」を作ってみてください!

将棋のざっか

学べる将棋のことばッジ(単品)

バッジをいっぱい集めて将棋のことばをたくさん覚えよう

385円(税込)

商品番号:145451137

この記事の執筆者中倉 彰子

中倉彰子 女流棋士。 6歳の頃に父に将棋を教わり始める。女流アマ名人戦連覇後、堀口弘治七段門下へ入門。高校3年生で女流棋士としてプロデビュー。2年後妹の中倉宏美も女流棋士になり初の姉妹女流棋士となる。NHK杯将棋トーナメントなど、テレビ番組の司会や聞き手、イベントなどでも活躍。私生活では3児の母親でもあり、東京新聞中日新聞にて「子育て日記」リレーエッセイを2018年まで執筆。2015年10月株式会社いつつを設立。子ども将棋教室のプロデュース・親子向け将棋イベントの開催、各地で講演活動など幅広く活動する。将棋入門ドリル「はじめての将棋手引帖5巻シリーズ」を制作。将棋の絵本「しょうぎのくにのだいぼうけん(講談社)」や「脳がぐんぐん成長する将棋パズル(総合法令出版)」「はじめての将棋ナビ(講談社)」(2019年5月発売予定)を出版。

関連記事

いつつへのお仕事の依頼やご相談、お問合せなどにつきましては、
こちらからお問い合わせください。

メールでお問い合わせ