将棋を楽しむ

2016年8月19日

今秋公開「聖の青春」の原作を読んでみて

「聖の青春」を読んでみて

松山ケンイチさん主演の映画「聖の青春」の公開日がついに発表されました。11月19日(土)の予定なそうですが、私は今から既に楽しみです(^ ^)

そこで今回のいつつブログでは、映画の公開に先立って大崎善生氏の原作「聖の青春」(講談社)を購読し、感想をまとめてみました。

ちょっとだけネタバレになるかもしれませんが、この記事を見てもらうことで「聖の青春」の原作や映画に興味を持ってもらい、最終的には原作や映画を見て、たくさんの人が将棋に興味持ってくれたらいいなぁと思います(^ ^)

著者、大崎善生氏の深い愛

「聖の青春」(講談社)
「聖の青春」(講談社)

「聖の青春」は、将棋界の頂点であるA級に所属しながら、わずか29歳という若さでこの世を去ったプロ棋士村山聖さんの生涯を描いた、いわば伝記のようなストーリーです。

本作を読むと、いかに村山さんの将棋が「怪童」と呼ばれるにふさわしい強いものであったかや、常に死と隣り合わせの病との闘いがどれほど壮絶だったかなどが、将棋の素人であり、また、健康体でもある私にもひしひしと伝わってきました。

しかし、私にとって印象的だったのは、むしろ対局や病室を離れた時の村山さんのエピソードです。

将棋盤をテーブル代わりにカップラーメンを作って「生活の一部」と主張してみたり、弟弟子の「どちらの番ですか?」という問いかけに「将棋連盟の盤だと思いますが」と答えてみたりと、愛嬌たっぷりです。

このことについては、著者である大崎氏がもともと「将棋世界」の編集長であり、公私を問わず、村山さんとの親交が深かったことが起因してると考えます。

他にも本作には、「プロ棋士」や「難病」という要素を抜きにした、一人の人間村山聖の魅力が感じられる場面が、実際のエピソードとしてふんだんに盛り込まれているのですが、どれも彼の近くで、実際に彼と関わってきたからこそ描けるシーンなんだなぁと思いました。

村山さんは、家族や師匠、棋士仲間や多くの将棋ファン、そして著者である大崎氏にも、とっても愛されていたんだなぁと思います。

師匠、森信雄さんの深い愛

師匠である森さんが撮影した村山さんの写真
師匠である森さんが撮影した村山さんの写真

あらすじとは少しそれるのですが、私、本書135ページ第3章のカバーで使用されている村山さんの写真がとても好きです。

これは、村山さんの師匠である森信雄さんが、村山さんがB級2組に昇級した際に撮影したものなそうなんですが、とてもいい顔してます。

本来師弟関係といえば、師匠の技を体得するために、弟子の側があれやこれやと師匠の身の周りをお世話するイメージなのですが、森さんと村山さんの場合、師匠である森さんの献身っぷりが半端ないのです(^_^;)

お風呂が嫌いな村山さんのために髪を洗ってあげたり、海苔巻きを買ってきてあげたり、少女漫画を買い集めてあげたりなどなど。本作に挙げられてるエピソードを数えるだけでもキリがありません、笑

しかし、森さんは村山さんに対して甘いだけではありませんでした。

天王戦の決勝、谷川さんとの対局の不戦敗を決めた村山さんに対して「もし指せなかったら、引退するしかない」と体調が優れず寝込んでいる村山さんにキツい言葉を投げたり、谷川さんや羽生さんに勝てる棋士になってほしくて、甘える村山さんをわざと冷たく突き放したりもしました。また、村山さんが「ゴルフをしたい」と言い出した時には烈火のごとく怒り出したそうです。

森さんの師匠としての優しさと厳しさ、その全部がこの1枚に込められているなぁと感じました。

プロ棋士、村山聖の深い愛

将棋への純粋な愛が村山さんを突き動かした。
将棋への純粋な愛が村山さんを突き動かした。

記事の最初の方で、「聖の青春」は村山聖さんの伝記のようなものだと述べました。私はすでにこの世に生を受けて、村山さんが生きた29年という歳月を経過しているのですが、自分自身の伝記を作るとして、きっとこんな風に心にずっしりくるようなストーリーにならないと思います。

そして、村山さんにとって、この「ずっしりくる」ような人生の質量を生み出していたのが、将棋だったんだなぁと思いました。

「人生に重いも軽いもない」と思われる方もいるかもしれません。でも、「なんて重たい29年なんだろう」、これが私が「聖の青春」を読んで、そして村山さんの生涯に少し触れてみて感じた正直な気持ちでした。

趣味や好きなことやものといったものは誰にでもあると思います。

しかし、将棋のために上阪させてほしいと親戚に土下座をして頼み込んだり、将棋の海外普及のためにポーンとポケットマネーから100万円を出そうとしたり、ネフローゼという難病との闘いで、何度も何度も倒れながら、それでもそのたびに立ち上がったりなど、これほどの情熱を捧げることができる「何か」を持つ人間はほとんどいないのではないでしょうか。

この何かを持つか持たないかで、良くも悪くも人の人生の重みは変わってくるのではないかと思います。もし将棋がなかったなら、村山さんの人生は全然違うものになっていたのではないかと思います。

本書のエピローグに、村山さんの訃報が伝えられたとき、将棋連盟に涙の雨が降ったと記載されています。

繰り返しになりますが、村山さんが大崎氏や森さん、たくさんの棋士仲間や将棋ファンの心を掴んだのは、村山さんがとても魅力的であり、一流のプロ棋士であり、何より純粋に将棋を愛していたからだと思います。

たくさんの人を魅了した村山さんの人生を綴った「聖の青春」はきっと読む人の心も魅了し、魅力的な村山さんが愛した将棋をきっと読者の方も好きになってくれると思います(^ ^)

他にもいつつブログでは、将棋にまつわる書籍や漫画についてたくさん紹介しています。ご興味あれば、ぜひ一度読んでみてください(^ ^)

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この記事の執筆者金本 奈絵

株式会社いつつ広報宣伝部所属。住宅系専門紙の編集記者を経て現在に至る。

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