株式会社いつつ

将棋を学ぶ 2018年9月1日

初心者向け、実戦に役立つ将棋の格言〜王・玉編〜

中倉 彰子

将棋の上達法としてよくいわれるものの1つに、「将棋の格言を覚える」というものがあります。将棋の格言とは、将棋界の先人たちが自らの経験をもとに、「こんな風に将棋を指すといいよ」とか「将棋でこんな失敗をやりがちだから気を付けよう」ということがらを、分かりやすい言葉で表現したものです。

将棋の実戦は同じ進行にはならないので、丸暗記はできません。ですので、格言を覚えることで、実戦に活かしながら指すことができます。対局中のふとした瞬間にこれら将棋の格言を思い出すことで、いい手を思いついたり、逆に悪手を指しそうだったところを思い留まったり。

そこで、将棋の格言の中でも、特に将棋初心者の子どもたちの実戦に役立つものをいくつか紹介していきます。将棋の歴史は長いだけに将棋の格言も数え切れないくらいたくさんありますので、今回は玉と王にまつわる格言にしぼって紹介します。

将棋初心者におすすめの玉・王にまつわる将棋の格言をご紹介します。
将棋初心者におすすめの玉・王にまつわる将棋の格言をご紹介します。

玉飛接近すべからず

これは、自分の王様と飛車は近付けない方がいいですよという意味の格言です。

玉は将棋で最も大切な駒。なんとしてでもその身を守らなくてはならなりません。一方、飛は攻撃の主役です。飛車がいるスペースでは、銀が前にでたり歩の交換をしたりと、活発に戦いが起こるので、そんな飛の近くに玉がいるとどうでしょうか。流れ弾にあたるがごとく、すぐに王手がかかったりととても危険な状態になってしまいます。

ですので対局中は、玉をなるべく戦いの部分から遠く離れた安全な場所に移してあげてください。基本的には、居飛車戦法では飛が右側にいるので、玉は左側、振り飛車戦法では、飛は左側に移動させるので、玉は右側となります。

ちなみに、将棋には「無敵囲い」という囲いがあるのですが、この囲いは、玉と飛車が思いきり近くにいます。名前がかっこいいので、子どもたちには大人気なのですが(全国将棋道場巡りで青葉将棋クラブを訪ねたときも登場しましたね)、やはり、名前通り無敵!とはいかず、むしろあまり良い囲いではありません・・。。

名前は無敵ですが、実際は玉と飛が接近していてキケン!
名前は無敵ですが、実際は玉と飛が接近していてキケン!

王手は追う手

こちらは、王手ばかりかけてはいけないですよという意味の格言です。将棋入門者にとって、「王手をする」というのは最初の目標ですよね。将棋に慣れきて「王手!王手!」と迫るのも気持ちがいいですね。ただ、次第に分かってくると思うのですが、王手をかけるだけでは、玉を捕まえることはできません。

私は将棋教室で玉を捕まえるコツについて話す時、よく金魚すくいの例をだすのですが、金魚をただ追い回しているだけでは、なかなかつかまえることができません。例えば、隅の方においやってみたり、お友達と「そっち逃げたから捕まえて」と協力したりして、金魚を捕まえることができます。将棋もこれと一緒で、王手ばかりをむやみにかけるのではなく、逃げるマスを少なくしたり、待ち伏せしたりして玉を捕まえなくてはなりません。

玉を捕まえる具体的なポイントは、「いつつ将棋教室神戸元町校 ほコース2週目」を参考にしてみてください。

王手をかけるだけではなかなか玉を捕まえられません。
王手をかけるだけではなかなか玉を捕まえられません。

居玉はさけよ

将棋初心者が実戦で使いやすい囲いは、どれも居玉になってないですよね。
将棋初心者が実戦で使いやすい囲いは、どれも居玉になってないですよね。

居玉というのは、最初の玉の位置のことをいいます。ですので、「居玉はさけよ」という格言は、自分の玉が対局中初期配置からずっと同じ場所にいるのはよくないよという意味になります。

将棋をはじめたばかりの初心者の子ども達にとって、相手に追い込まれでもしない限り、自分の玉を動かすのってなかなか勇気がいりますよね。ただ、1番でも話したように、玉は将棋の駒の中でも、1番大切な駒です。ちゃんと序盤の段階(戦いが始まる前に)で、きっちり準備をして、相手の攻撃に備えなくてはいけません。ちなみに、序盤に玉を敵からの攻撃を受けにくい場所に移動させ、その玉のまわりにその他の駒を集結させたものを「囲い」といいます。穴熊囲い・舟囲い・美濃囲い・矢倉囲いは、基本的な囲いですので、将棋初心者の段階で覚えておくといいですね

実は、「居玉はさけよ」という格言の教えとまったく違う戦法も存在します。藤井猛九段が考案した「藤井システム」と呼ばれるものです。藤井システムは、場合によっては、「居玉」のまま戦いが始まります。「居玉はさけよ」の格言が当てはまらない画期的な戦法で、この戦法を初めてみた時は本当に驚きました。

ただ、将棋入門・将棋初級者の段階では、まずは基本を身につけることが大切です。基礎がある上で、その後、自分の頭で考え、「格言にはあるけど、この局面は当てはまらないな。」と判断したり「こうしたほうがもっと良さそう」などと工夫をしていくと良いでしょう。

王より飛車をかわいがり

将棋で1番大切なのは玉!!
将棋で1番大切なのは玉!!

これは、そのまま、玉より飛車を大切にするという意味です。飛車は将棋の駒の中で最強です。先日子どもたちに好きな駒のアンケートを取りましたが、ダントツで「飛車」でした。たくさん動ける頼もしい攻めの主役の駒です。それぞれの駒のキャラクターがか活躍する
将棋の絵本「しょうぎの くにの だいぼうけん」でも飛車のキャラクター「ひしゃおくん」はとってもイケメンです、笑

ですので、将棋の目的は「相手の王を捕まえる」なのですが、ついつい飛車を取りたくなって、そちらのほうに目がいってしまう、ということが将棋入門者・将棋初心者の間には時々みられます。例えば相手の王さまを詰ます手があるのに、目の前の飛車を取りにいってしまったり、逆に相手に今にも詰まされそうなのに、玉ではなく飛車を逃げてしまったり、大切にしたくなる気持ちはよく分かるのですが、将棋を指すときはまず「相手の王さまを詰ます手はないかなぁ」「自分の玉は安全かなぁ」と王さまのことを心配してあげてくださいね。

玉は下段に落とせ

これは、相手玉を下へ移動させましょうという意味です。では、なぜ玉を下に落とすといのかというと、玉を下に追い込むことでだんぜん捕まえやすくなるからです。それでは1度将棋盤の上で確認してみましょう(^ ^)

上の方に玉を逃すと、8方向に動けてしまいます。
上の方に玉を逃すと、8方向に動けてしまいます。

例えば写真のように玉を上の方へ逃がしてしまうと、玉は前後左右八方に移動することができるので、逃げ道が多くなってしまい捕まえることが難しくなります。しかし、玉を下段へ追いやるとどうでしょうか。動ける範囲が5つのマスになるので、上にいるより捕まえやすくなりますよよね。もっと言うと、玉を隅まで追いやると、3つのマスしか動けなくなるので、もっと捕まえやすくなります。

下段に落とすことで5マス、さらに隅に寄せることで3マスまで玉の動ける範囲を制限することができます。
下段に落とすことで5マス、さらに隅に寄せることで3マスまで玉の動ける範囲を制限することができます。

「王手は追手」にもありましたが、将棋初心者の子どもたちは、ついつい王手をかけてしまってなかなか相手の玉をつかまえられません。先ほどの金魚の例ではありませんが、上手く壁を使うことで玉は捕まえやすくなります。

さて、今回は将棋初心者の実戦に役立つ、玉に関する将棋の格言を5つ紹介させていただきましたがいかがでしょうか?将棋の格言はたくさんあります。実戦の中で実際に試してみることで、体験としての「将棋の格言」を積み重ねられ、きっと将棋初心者の子どもたちのスキルとなって定着することと思います( ^∀^)

将棋の言葉を楽しく覚えるには

「学べる将棋のことばッジ」は、将棋の格言をはじめとした将棋の言葉をかわいいイラストの缶バッジにしたものです。自分の色んなお気に入りのアイテムにバッジを付けることで、将棋初心者の子どもたちも、楽しみながらたくさんの将棋の言葉を学ぶことができます( ´∀`)

将棋のざっか

学べる将棋のことばッジ(全50種)

バッジをいっぱい集めて将棋のことばをたくさん覚えよう

330円(税込)

商品番号:145451137

この記事の執筆者中倉 彰子

中倉彰子 女流棋士。 6歳の頃に父に将棋を教わり始める。女流アマ名人戦連覇後、堀口弘治七段門下へ入門。高校3年生で女流棋士としてプロデビュー。2年後妹の中倉宏美も女流棋士になり初の姉妹女流棋士となる。NHK杯将棋トーナメントなど、テレビ番組の司会や聞き手、イベントなどでも活躍。私生活では3児の母親でもあり、東京新聞中日新聞にて「子育て日記」リレーエッセイを2018年まで執筆。2015年10月株式会社いつつを設立。子ども将棋教室のプロデュース・親子向け将棋イベントの開催、各地で講演活動など幅広く活動する。将棋入門ドリル「はじめての将棋手引帖5巻シリーズ」を制作。将棋の絵本「しょうぎのくにのだいぼうけん(講談社)」や「脳がぐんぐん成長する将棋パズル(総合法令出版)」「はじめての将棋ナビ(講談社)」(2019年5月発売予定)を出版。

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