将棋を教える

2018年12月28日

未就学でも楽しく学習!将棋入門期にゲームの要素を取り入れる方法6つ

以前、(「未就学児でも大丈夫!子どもが将棋を好きになる練習法5つ」)という記事で、未就学の子どもたちに飽きずに将棋に集中してもらうには、将棋の指導にゲーム要素をプラスするといいというお話をちょこっとだけさせていただきました。ゲーム性を取り入れたらいいとはいうものの、具体的にどのようにすればいいの?という方もいらっしゃるかと思います。そこで今回のいつつブログでは、私がいつつ将棋教室で実践している、将棋の指導時にゲーム性を取り入れる方法について、詳しくご紹介したいと思います。

1.同じ駒を集めるゲーム

未就学児の子どもは、漢字はもちろん、ひらがなも読めるものと読めないものがあります。ですので、将棋の駒の動かし方を覚えるには、まずそれぞれの駒の文字を模様や形としてを認識してもらう必要があります。そこで、私が、未就学の子どもたちに、将棋の駒の文字に慣れてもらうために導入しているのが「同じ駒を集めるゲーム」。まずは将棋教室の講師の先生やパパママが、将棋の駒を全て全て表にしておき、子どもたちはたくさんの駒の中から、同じ文字の駒を見つけてグループにしてもらいます。ここで重要なのは、ダラダラと始めても子どもたちの気合が入りませんので、私は「よーいどん!」と掛け声をかけてから始めるようにしています。

最初のうちは、大人もそのゲームに参加して、競争しながら子どもたちが集めている駒をそっと近くに置いたりして、8種類の駒でグループができるようにサポートしてあげてもいいですね。そうする事で、子どもたちは8種類ある将棋の駒の種類を身に付けることができます。できたら「完成!」と言って一緒に喜びましょう。

将棋のマスを利用して駒のグループ集め
将棋のマスを利用して駒のグループ集め

2.作る楽しみ ドミノ倒し

未就学の子どもたちが将棋の駒を8種類に分けられるようになったら、今度は将棋の駒には大きな駒と小さな駒があることを教えます。最初は何より「楽しい」と感じてもらうことが肝心。そこで私は、ちょっとした休憩も兼ねて、子どもたちに将棋をの駒を使った「ドミノ倒し」をしてもらいます。未就学の子どもたちはこれは大好きですね。

子どもたちが駒を並べるときに、「大きな駒から順番に並べると倒れやすいかもね。」と言いながら、一緒に玉から順番に並べていくことで、それぞれの駒の大きさを意識しながら駒に触れてもらいます。最後に、きれいに倒れると「やった〜。」という達成感も味わえるのもドミノ倒しのいいところです。

大きな駒から並べていきます。
大きな駒から並べていきます。

3.駒の名前を覚えるための山崩しゲーム

本将棋の前の段階でよく使われる遊び方の一つ、山崩しですが、これも駒を覚えるために利用します。山盛りの将棋の駒の中から、そ〜と1枚を取り出します。そして、取った駒について、何と読むのかや、駒の動かし方を、下敷きなどを利用して確認させていきます。「これは歩!だね。じゃ言ってみよう。歩!」「ふ!」。未就学の子どもたちには、声に出して覚えてもらうのも有効に感じています。

何度もやっていくうちに、覚えていく駒も多くなってきます。そうしたら、今度はクイズ形式にしてください。「この駒は?(金の場合)」「うーん・・。」と詰まったら「金メダルの〜?」とヒントを出すのもいいですね。

実は、山崩しの本来の目的は、「駒をそ〜と取ること」ではなく、「駒の名前を覚えること」です(少し将棋に慣れてきたら、駒の価値を理解するのにも役立ちます)。本来のルールなら「かちゃっ」と音がなってしまったら相手方に交代ですが、将棋教室やおうちで大人とする場合はそこまで厳密にやらなくても大丈夫です。

また、だんだんと集中力がきれてくると「まとめて取ろう。」なんていう思いがでてきて駒が4枚くらい重なった塊を動かそうとしていきます。それもOKです。むしろまとめて取って、まとめて駒の確認ができたほうが一つ一つするより効率がいいですよね、笑

取った駒で駒の名前をおぼえていきましょう。
取った駒で駒の名前をおぼえていきましょう。

山崩しをしながら、駒の価値を理解してもらいたいという方はこちらの記事を参考にしてください。

いつつブログでは今までに、「将棋の駒の動かし方を使いながら、将棋を覚えたその日のうちに楽しめる!」をコンセプトとしたゲームをいくつか紹介し...

4.視覚的に駒の動きを認識させる:おはじきよ〜いドン!

駒の動かし方は、将棋をはじめたばかりの未就学の子どもたちにとっては1つの大きなハードルになります。例えば、「金ならばキノコ」と言った感じで駒の動きを他のものに例えるなど様々な工夫の仕方があるのですが、いつつ将棋教室ではよく、「おはじきよ〜いドン!」を行います。

「おはじきよ〜いドン!」は駒の動かし方をおはじきで置いていくゲームです。おはじきを置くことで駒の利きを視覚化できますよね。これも「よ〜いドン!」と競争にすることで子どもたちは俄然やる気を出してくれます。1回目は講師やパパママもおはじきを置いていきますが、3回目くらいからは、お子さん一人で全部置けそうだったら置かせてみてください。さりげなく講師のおくおはじきを少なくしていくのがコツですね。

また、飛→角→金→銀→桂→香→歩の順番でやってみることで、駒の動きを少しずつ認識できるかと思います。

おはじきを置いて視覚的に駒の動きを捉えよう
おはじきを置いて視覚的に駒の動きを捉えよう

5.と金づくりはノック練習!

将棋を指す上で欠かせないテクニックといえば「成り」ですよね。将棋の駒の種類や駒の動かし方を覚えてきたら、今度は実際に盤上で「成る」の練習をします。

これは棋友館の小田切館長(棋友館)に教えていただた方法なのですが、「歩成り千本ノック」といって、歩を4段目にズラッと並べて、時間を測りながら、ひたすら3段目に入ってひっくり返すという動作を繰り返します。私の場合は、この方法に、銀・桂・香など他の駒をまぜて行います。「歩が成る、歩が成る、あ、これは桂だから、動きはこうで、こう成る!」というように、駒を実際に動かしながら、「3段目に入ると成ることができる。」ということをしっかり頭に入れてもらいます。本将棋では、もちろん急いで成る必要はないのですが、時間を測る事で、子どもたちはよりやる気を出してくれます。チェスクロックがなければストップウォッチで測るのもいいですね。

よ〜いドン!で成りの練習
よ〜いドン!で成りの練習

6.駒はジグザグに取っていこう!

「成る」と同等に将棋を指す上で大切なテクニックが「取る」です。

自分の駒の動けるマスに相手の駒がいたら取れるという意味自体は、説明すれば未就学のお子さんでも理解してくれるのですが、問題は駒を取る時の取り方です。

体験会などでも、自分の駒を動かして、相手の駒の上に乗っけて反対の手で相手の駒を取ったり、「えいっ」と横に飛ばして自分の駒をマスに動かしてから、ちょっと飛ばされた相手の駒を駒台へ置いたりということがよく見受けられます。最初のうちはそれでもOKなのですが、いずれは正式な取り方、1:取りたい相手の駒を取って駒台におく 2:自分の駒を動かす ができなくてはいけません。

ただ、単純な動作ではありますが、この「取る」もまた、練習しないと未就学の子どもたちには難しいと思います。そこでいつつでは、写真のように駒を置いて「相手の駒を取る」練習をします。自分の王様と取られる駒の距離が近いので、これだと、駒の利きを見誤ったりすることもないですよね。ここでも、他と同様にストップウォッチなどで時間を測ってあげるといいと思います。

お互いの玉でどんどんと駒を取っていくゲームです。
お互いの玉でどんどんと駒を取っていくゲームです。

さて今回は、特に未就学の小さなお子さんに将棋の基本を教えるときに、ゲーム性を取り入れていることについて書きました。

未就学児との将棋レッスンでは、最初は集中力もあるので、お勉強型や難しめのもの(例えばはじめての将棋手引帖のワーク)に取り組みます。集中力が途切れてきそうだなど思ったら今回紹介したゲーム性をいれたものをいれます。未就学児の子は一つのことをずっとやりたくなってしまう傾向もあるように思います。例えばドミノ倒しだったら、今後は、3つにわかれるように並べていこう!みたいに一人で盛り上がってしまうことがあります。なので、一回終わったら次はこれ、とテンポよく進めるのがコツです。ゲームだったら「よ〜いドン!」と掛け声をかけたり、山崩しだったら「お願いします。」と一緒に礼をしたり、一つ一つのコンテンツの間にはメリハリをつけると良いと思います。

ただマニュアル形式で教えてもお子さんには響きません。未就学児のお子さんは素直ですからね。つまらなかったらつまらなそうな顔をするし、あきたら違うことをしてしまいます。指導者としては、次から次とたくさんのボールを準備しておくことが大事です。これがだめならこれかな?という具合に出してあげます。今日は「王手」の単元まで行きかったのになぁと講師の都合で思っても、相手が聞く耳をもってないところに説明してもそれは講師の自己満足。無駄になってしまいます。
お子さんがどんな状態なのか。ちょっと頑張れそうか、一息つくゲームを挟んだほうがいいのか、お子さんの様子を見ながら判断していってください。
最後に、やっぱり大切なのは教える親や指導者も楽しむ、ことです。指導者が楽しそうに、教えるとその楽しさは伝わります。

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この記事の執筆者中倉 彰子

中倉彰子 女流棋士。 6歳の頃に父に将棋を教わり始める。女流アマ名人戦連覇後、堀口弘治七段門下へ入門。高校3年生で女流棋士としてプロデビュー。2年後妹の中倉宏美も女流棋士になり初の姉妹女流棋士となる。NHK杯将棋トーナメントなど、テレビ番組の司会や聞き手、イベントなどでも活躍。私生活では3児の母親でもあり、東京新聞中日新聞にて「子育て日記」リレーエッセイを2018年まで執筆。2015年10月株式会社いつつを設立。子ども将棋教室のプロデュース・親子向け将棋イベントの開催、各地で講演活動など幅広く活動する。将棋入門ドリル「はじめての将棋手引帖5巻シリーズ」を制作。将棋の絵本「しょうぎのくにのだいぼうけん(講談社)」や「脳がぐんぐん成長する将棋パズル(総合法令出版)」「はじめての将棋ナビ(講談社)」(2019年5月発売予定)を出版。

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