株式会社いつつ

将棋を教える 将棋を学ぶ 2025年11月26日

保護者の方、教室の先生方必見!子どもが集中して将棋に取り組む5つの練習方法

中倉 彰子

将棋は集中力や思考力を育むことができる遊びである一方、駒の動きを覚えるのが大変で、ハードルが高いと感じたり、飽きてしまったりする子どもは少なくありません。

そこで今回は、将棋初心者の子どもを持つ保護者の方や将棋教室の先生向けに、子どもが楽しく駒の動かし方やルールを習得し、集中して将棋に取り組むことができる5つの練習方法をご紹介します。
※いつつ子ども将棋教室のYouTube『子どものための将棋入門者の練習方法』をブログ化したものです。

①駒の動きを体で覚える「ゴールを目指す練習」

駒の動きを言葉だけで説明すると、子どもは話を聞くだけになってしまい、飽きてしまうことがあります。楽しく集中して将棋をしてもらうためには、実際に駒を動かしながら覚えることが大切です。

☗練習方法

盤上に「ゴール」の目印を置き、特定の駒を使ってそのゴールを目指して動かします。

☗ポイント
  • 実際に自分の手で駒を動かすことで、ルールを体験的に覚えます。
  • 特に動きが複雑で難しいとされる桂馬の練習に有効です。動かせる場所を指でガイド(例.「この桂馬、右と左のどっちに進める?」と聞いてみるなど)してあげると、頭に入りやすくなります。
  • 特に銀など、斜め後ろに下がる動きは子どもにとって分かりづらいことが多いです。バックしながらゴールを目指すなど、バリエーションをつけると更に効果的です。

②正しい取り方を習得する「駒をジグザグに取る練習」

相手の駒があったマスに自分の駒を動かす、といった将棋の公式な駒の取り方は、慣れないと意外と難しいものです。初心者のうちは、相手の駒を取るときは、自分の駒を上に乗っけて、その下の相手の駒を取る、でも大丈夫ですが、正式な駒の取り方は、こちらです。

出典:はじめての将棋手引帖 1巻
☗練習方法

盤上の手前から奥まで駒を下の画像のようにジグザグに並べ、それらを片手で正しい方法で取っていきます。

☗ポイント
  • 最初に正しい駒の取り方を教え、片手で扱う癖をつけてあげることが重要です。
  • 時間を計り、「何分で取れたかな?」「前より短くなったね!」と競争要素を加えると、特に男の子は集中して取り組んでくれることが多いです。
  • 駒を取った後、自分の持ち駒をきれいに並べる習慣をつけてあげましょう。

③成る場所と成り忘れがないように、体に染み込ませる「駒を成るノック練習」

駒が成るルールは、初心者がうっかり忘れたり間違えてしまうことが多いポイントです。

☗練習方法

盤上(次の一手で成れるマス)に様々な駒を並べ、相手の陣地に入ったらすぐに成る練習を繰り返します。

☗ポイント
  • 相手の陣地(成れる場所)がどこからかを意識づけるのに役立ちます。
  • 繰り返しノックのように練習することで、駒の動きと成る場所を体に覚え込ませることができます。
  • よーいドン!など声をかけてあげると楽しそうに取り組んでくれます。

④詰みの基本を理解する「金2枚で捕まえる練習」

将棋において、相手の玉(王様)を詰ませるには、原則として2枚以上の駒が必要になります。この詰みの概念を理解するための初歩的な練習です。

☗練習方法

将棋盤の一部(例.5×5マスや、2列だけに限定した狭い盤面)を使い、自分の金2枚以上で相手の玉を捕まえる練習をします。

☗ポイント
  • 1枚の駒では玉は逃げてしまう(またはその駒が玉に取られてしまう)ことを理解し、複数の駒で玉の逃げ道を狭めていく感覚を養います。
  • 特に、最後は「頭金(※)」を使って捕まえるケースが多いため、基本的な詰めの形を覚えるのに最適です。
    ※頭金:相手の玉将の真上(一つ前)のマスに持ち駒の金将を打つことで、詰みの状態を作り出す形のこと。

⑤実戦に近い「詰将棋の練習」

上記4つの練習で将棋の動きやルールの理解が進んだら、いよいよ詰将棋に挑戦します。

☗ポイント
  • 最初から難しい問題ではなく、初心者の子ども向けに作られた本(例.いつつの『ほんとうに はじめての つめしょうぎ』など)から始めるのがおすすめです。このような本は、専門的な表記がなく、キャラクターが応援コメントをつけてくれるなど、楽しく取り組める工夫がされています。
  • 単に解くだけでなく、解くのにかかった時間を記録しましょう。何度か繰り返して解くと、解く時間がどんどん短くなります。この時間の短縮が達成感につながり、集中力が持続します。
  • 最後まで速く解けるようになったら(『ほんとうに はじめての つめしょうぎ』だと3分くらいが目安です)、次のステップとして問題数の多い詰将棋本などにぜひ進んでみてください。

これらの練習を通じて、子どもたちが駒の動きを楽しく習得し、将棋に集中して取り組めるようになることを願っています。

将棋のほん

ほんとうに はじめての つめしょうぎ(2冊セット)

ほんとうに はじめての つめしょうぎ(1・3手詰)のセットです。

1,870円(税込)

商品番号:184890977

この記事の執筆者中倉 彰子

中倉彰子 女流棋士。 6歳の頃に父に将棋を教わり始める。女流アマ名人戦連覇後、堀口弘治七段門下へ入門。高校3年生で女流棋士としてプロデビュー。2年後妹の中倉宏美も女流棋士になり初の姉妹女流棋士となる。NHK杯将棋トーナメントなど、テレビ番組の司会や聞き手、イベントなどでも活躍。私生活では3児の母親でもあり、東京新聞中日新聞にて「子育て日記」リレーエッセイを2018年まで執筆。2015年10月株式会社いつつを設立。子ども将棋教室のプロデュース・親子向け将棋イベントの開催、各地で講演活動など幅広く活動する。将棋入門ドリル「はじめての将棋手引帖5巻シリーズ」を制作。将棋の絵本「しょうぎのくにのだいぼうけん(講談社)」や「脳がぐんぐん成長する将棋パズル(総合法令出版)」「はじめての将棋ナビ(講談社)」(2019年5月発売予定)を出版。

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