将棋を学ぶ

2018年10月3日

節目の初段〜将棋で初段を目指すということ〜

なぜ初段を目指すのか

いつつ将棋教室では、生徒さんたちに、将来的には初段になることを目指してもらいたいと思っています。もちろん、プロ棋士になりたい、お父さんに勝ちたいなど、お子さんそれぞれで自由に目標を設定してもちろんOKなのですが、なぜ長期目標として「初段になる」を掲げるのかというと、将棋を指すものにとって初段が1つの節目、目指すべき指針になるからです。

例えば単純に、今まで「◯級」と名乗っていたのが、「僕、初段」と段位に変わるだけで、急に強そうですし、なんだかかっこいいですよね?奨励会(プロ棋士養成機関)でも初段になることを表す入品(にゅうぼん)という言葉がるように(もともと囲碁からきているそうですが)、「初段になる」ということはなにかしら特別な響きがあるものです。

また、「初段」に限らず段位というのは、将棋教室や道場、またアプリやインターネットでのレーティングなどで実際のところ認定にはかなりの差があります。ただそうは言っても、どこそこの初段が本当の初段だ、ということもないですので、今もし教室や道場に通っていたら「段位」というのが存在することがほとんどですので、そこの初段を目標にするのはモチベーションを持続させるにも良いゴールと思います。また「初段」というのは、将棋の才能にかかわらず、小さなお子さんから大人まで、どんな人でも地道な努力を続けることで、現実的に目指すことができる、という点でも将棋を始めた人の目標としておすすめしています。

いつつ将棋教室では、みんなに初段を目指してもらいます。
いつつ将棋教室では、みんなに初段を目指してもらいます。

初段になるために

ただ、誰でも初段を目指せるからといって、初段への道が平坦なものかというと、決してそんなことはありません。例えば、学校のお友達や家族と週末に指したり、時々将棋アプリをしているだけでは、正直初段になるのは難しいと思います。そこで、今回のいつつブログでは、将棋をはじめた子どもたちのサポートとして、初段になるための道標を簡単にまとめてみようと思います。

初段になるところまで来れたら、自信を持って自分の特技として「将棋」を挙げることができますよね。

毎日10分の詰将棋

将棋上達の手段として、欠かすことができない詰将棋。もちろん初段を目指すうえでも、詰将棋の勉強は非常に大切になります。一番簡単な1手詰めから始めて、順番に3手、5手、7手詰まで解けるようにステップアップしていきましょう。できれば毎日というのがいいですね。私の生徒さん(大人の方ですが)も、通勤時間を詰将棋の時間にあてています。すでに習慣になったいるもの、例えば歯磨きとか、そういうものの前にくっつけると良いのかもしれませんね。

ちなみに、詰将棋を解くには、アプリや将棋教室のプリントなどがありますが、自宅学習で詰将棋をするなら、詰将棋の問題を集めた書籍を使用するのが断然おすすめです。そこには答えは書き込まず何度も解きます。生徒さん(大人の方ですが)、答えがあっていたら◯、間違っていたら☓をつけながら何度も解いていると、同じ問題でつまづくこと傾向があることがわかったようです。何度も何度も解いて、タイムを測っていくのもいいですね。書籍であれば、1回目10分かかって10問解いていたら、次は、10分で15問・・・と毎日10分解くのに、数が増えていくといいですね。

詰将棋は答えを覚えるくらいまで何度も解くことが大切です。
詰将棋は答えを覚えるくらいまで何度も解くことが大切です。

詰将棋の書籍としては、浦野真彦先生のハンドブックシリーズがやはり有名ですよね。各手数ごとに200〜300題の詰将棋問題が監修されているので、このシリーズがしっかりできるようになれば、初段に向けた終盤力が身に付きます。また、もし、このハンドブックシリーズに取り組む前に少し難しいなと感じるようでしたら、高橋道雄先生のパワーアップシリーズもおすすめです。この詰将棋は「実戦型」です。例えば香・桂が隅にいるなど、どれも実戦を意識したものなので、学習することで、実際の対局でも身に付けたことを汎用することができます。また、まだお子さんの年齢が幼すぎて書籍が読めない、今まで詰将棋を解いたことがないという場合は、オーソドックスな1手詰問題を集めたいつつの「ほんとうに はじめての つめしょうぎ」がおすすめです。大きな盤面でお子さんにもお母さんにも見やすくなっており、冒険のような物語に沿った信仰やかわいいキャラクターたちで、将棋をはじめたばかりの子どもたちでも、飽きずに詰将棋に取り組むことができます。

私も子供の頃毎日詰将棋を解いていました。図面用紙という将棋盤のマスが書いてある紙があるのですが、そこに父が毎日詰将棋本から選んだ詰将棋問題を書き、家の柱に貼ってくれていました。私と妹は帰宅するとまずその問題を解いてから遊びに行くという毎日でした笑。1枚の紙なので、それを剥がして持ち運べたのも良かったのかもしれません。自室に持っていったり、おやつを食べなから?時々妹に相談しながら、あーでもないこーでもないと考え、やっとわかった答えを図面の下に書いて、もとにあった柱に貼っていました。今考えると、10分くらい考えたらわかる、くらいのレベルの問題だったように感じます。
まずは1日10分でもいいので、集中して詰将棋を解く時間をつくってみましょう。

余談になりますが、この詰将棋のタイムトライアルと何十人と見てきていますが、つまずく問題というのが面白いように似ています。子どもがわかりにくい問題というのが、自然とわかってきますね。

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いいことがいっぱい詰まった詰将棋

得意戦法を身に付けよう

いつつ将棋教室の専門コースでは、戦法を身に付けるための指導をしています。
いつつ将棋教室の専門コースでは、戦法を身に付けるための指導をしています。

将棋における戦法には大きくわけると居飛車戦法や振り飛車戦法があります。組み合わせとしては、お互いが居飛車ですと「相居飛車」、お互いが振り飛車ですと「相振り飛車」、どちらから居飛車どちらかが振り飛車ですと「対抗型」という3つに分類されます。私が子供の頃は、居飛車戦法を覚えていました。妹は「振り飛車戦法」。父は、まずは姉妹で「対抗型」にする、という定跡を教えてくれました。最初に覚えやすいのは「振り飛車」ですね。駒組みが覚えた通りに実戦で現れやすいのです。ただ駒組みが終わったあとに、自分から攻めることが難しいので狙いがわかりにくいという点があげられます。その点居飛車戦法だと、「棒銀」を覚えると、飛車と銀で相手の角の頭を狙って進めるという狙いがわかりやすいのですが、相手の形・戦法に対応することや、覚えることが多いという点がありますね。

将棋の戦法は他にもたくさんあり、初段になるには、その中から少なくとも1つ以上の得意戦法を身につけておく必要があります。まず将棋にはどのような戦法があるのか知り、その定跡(指し方のセオリーみたいなもの)を覚え、実戦でいろいろ試しながら、自分に合う戦法、合わない戦法を見つけていってください。そのうち、「この戦法だと勝つことが多いなぁ。」となり、やっぱり勝つとその戦法が好きになり、だんだんと得意戦法になっていくのだと思います。

ただ、普段、学校のお友達やアプリで将棋を指しているだけだと、いわゆる実戦のみになり、きれいな駒組みや将棋の本筋や考え方が身につかず、自己流で固まったしまう可能性があります。戦法を身につけるためには、やはり「定跡を勉強する」ということも必要なのですね。

この「定跡」というのは、登山道でいうならば、昔の人がたくさん登って踏み固めた道のようなものです。「ぼくはその道でなくて、けもの道をのぼるんだ!」でももちろんいいのですが、将棋は、必ず定跡から外れる瞬間が必ずきて、そこからは誰しもけもの道になるので、そこからでも十分です。昔の人の叡智を感じならが、将棋の本筋を理解していく、ことのほうが初段へ近づくと思います。そのため得意戦法を身につけるためには、その戦法を解説した書籍を学習したり、将棋教室へ通うことがおすすです

もし、お子さんが自分で本を読むことできる年齢に達している場合は本による学習も有効ですのです。羽生竜王の「羽生善治の将棋の教科書」や片上大輔さん著の「勝つための将棋 作戦編」はフリガナもあり読みやすく、たくさんの将棋の戦法が紹介されているので、これから戦法を学ぶという子どもたちにもおすすめです。これらの本で紹介されている様々な戦法を試しながら、「これだ!」というものが決まったら、少し難易度は高くなりますが、それぞれの戦法に特化した専門書に移行するといいと思います。ただ、将棋の戦法に関する本というのは、非常に専門的で難しいものが多いので、特にまだ本を読むということが定着していない年齢の段階では、将棋教室に通いながら、指導者にどの戦法があっているのかなど、アドバイスをもらうのがいいと思います。

ここで、少し話が逸れるのですが、先ほど、得意戦法を身につけるにはそれぞれの戦法の定跡を身に覚える必要があるというお話をさせていただいたのですが、定跡に関するレッスンや指導をすると必ずと言って出てくるのが、「相手が定跡通りに指してこなかったらどうすればいいですか?」という質問です。まず第一に、将棋には定跡通りに指さなくてはいけないというルールがあるわけではないので、仮に相手が定跡通りに指してこなかったとしても「そういうものだ。」と受け止めましょう。その上で、相手がどのような指し方できたとしても対処できるように、定跡を覚える時は手順をそのまま暗記するのではなく、なぜそのように指すのか、1手1手意味を理解しながら覚えるようにしましょう。そうすれば、相手の指し方に応じて、これは定跡通りに指しても大丈夫だなぁ、ここはちょっと定跡の指し方を変えた方がいいなぁなどと、定跡に応用がきくようになります。

実戦は質を大切に

いつつ将棋教室のレッスンでもiPadによる対局をしていますが、お互い挨拶をするなど実戦を意識するようにしています。
いつつ将棋教室のレッスンでもiPadによる対局をしていますが、お互い挨拶をするなど実戦を意識するようにしています。

初段を目指すための上達法として、やっぱり実戦は大切です。以前までは、将棋で実戦の経験を積む場所といえば将棋道場だったのですが、今の時代だと近所に将棋道場がないという子どもたちも少なくないと思います。そこで、将棋道場に変わって、たくさん対局ができる場所として昨今台頭してきたのが将棋アプリやインターネットです。確かに、アプリであれば、自宅でも手軽にたくさん実戦を積むことができますね。

将棋アプリには、棋譜を残せるなどいいところもたくさんある反面、気軽にたくさん指せるがゆえに、数が増えれば増えるほどに対局が雑になってしまうという傾向があります。なぜなら、アプリやネット対局だと相手の顔が見えるわけではないので、途中で嫌になったらやめてしまったり、やり直すということも簡単にできてしまうのです。あと「まった」機能がついているものが多く、悪くなったらこれをポチッとおしてしまうのです。先日生徒さんの親御さんに「アプリで対局をしている。」というのでちょっとみせてもらいました。すると左下に大きく「まった」という文字があります・・。また押しやすい位置にありますね、笑。生徒には、「強くなりたかったら、この待ったボタンをつかのはやめようね。教室でお友達と対局をするときは、待ったはしないよね?また相手に待ったをたくさんされたらどんな気分になるかな?」と話をしました。

かくいう私も、現役時代インターネット対局で逆転負けして、「もう今日は勝つまで指すぞ!」と何局も対局をしたこともありました。でも大抵そういう場合は、勝てません、笑。熱くなって冷静を欠いてしまった頭では、良い手など指せないのです。たまたま勝ったところでそれが棋力向上につながるのかといえばあやしいものです。

将棋で初段になるには、できれば毎日実戦の練習をするのが理想です。それを考えると、練習に将棋アプリを取り入れるのは決して悪いことではないのですが、真面目に考えずに指した20局よりも、集中して真剣に取り組んだ2局の方が、断然実りがあるということは心得ておきましょう。自分の集中力の持続を考慮した上で、1日◯局までとルールを決めて、人と指すにしても、アプリで指すにしても1局1局の質を大切にしながら指していくよう心がけるといいと思います。

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学びの足跡を残す

頑張ってきたことが、つらいときに励ましてくれる。
頑張ってきたことが、つらいときに励ましてくれる。

これは最近いつつの将棋教室で始めたことなのですが、何人かの生徒さんに「将棋ノート」というものをつけてもらうようにしています。特にこれを書かないといけないという決まった形はなく、その日その日にやった将棋に関すること・感想などを記録してもらうようにしています。ちなみに、いつつ将棋教室の生徒さんは自分で作った詰将棋を書いてくれたりしています。

では、なぜ私がこのようなことを始めたのかというと、将棋で初段を目指すには、何より「継続すること」が大切だと考えるからです。中には、「道場にいった初日に初段に認定されました」という若手プロ棋士の増田康宏さんのインタビュー記事を拝見したことがあり、驚きましたが、それはあまりの特殊例ではありますが、まぁ個人差はもちろんありますが、通常であれば初段になるには何年もかかるものです。その長い旅路の途中には、きっとなかなか勝てずに将棋が嫌になってしまったり、他のことに気を取られてしまうということも何度かあると思います。

そんな時、自分を励ましてくれるのは、「今までこんなに頑張った!」という自分の足跡なんだと思います。日々の記録をノートに残しておけば、「あ〜こんなこともあったぁ」とか思い出を振り返りながら、「よし、またあの時にように頑張ろう!」と再び自分を奮起させることができますよね。また練習した内容を記録に残すことで、達成感も味わえると思います。

ちなみに、いつつではノートという形をとっていますが、自分の頑張りが振り返れるものであれば、形式はなんでもいいと思います。

ライバルをみつける

私にとってのライバルは妹でした。
私にとってのライバルは妹でした。

先日将棋の映画「泣き虫しょったんの奇跡」を観てきました。とても良い内容だったので、いろいろな方に観ていただきたいと思うのですが、今回はその中で主人公のしょったんには、小学生の頃同じ年の将棋のライバルの存在がありました。一緒に道場に行ったり大会に出場したりと切磋琢磨した存在です。私も妹と一緒に将棋を始めました。妹とは「ぜったいに負けたくない相手よ!」というライバル心ギラギラというよりも、一緒に学べる心強さがありました。(特にこの時代は将棋をする女の子自体が少なかったのもので・・。)将棋を通したライバルや仲間という存在があるのは、継続するという観点からも大事なような気がします。

いつつの教室でも年長さんの女の子が一人通っていたのですが、途中から同じ年長さんの子が教室に入ると、とたんに仲が良くなり、帰りも一緒におしゃべりしながら帰っています。続けることができるかなと心配していたのですが、一人で通っていた時よりも断然ニコニコ笑顔が違い安心しました。男の子は「次は絶対負けない!」とか言い合って、ライバルになっている子もいますね。

やはり子ども教室や道場へ行くと、一緒に学べる子がいるのでライバルを見つけやすいと思います。教室の子どもたちをみていると、「え?知り合いだったの?」と驚くくらい、初対面でも仲良く話している子どもたちの会話があります。特に男の子は、すぐに呼び捨てで呼び合ったりして、笑。「今度はこいつに勝ってやるぞ!」という身近なライバルの存在があるとそれがそのまま目標になり、自然に継続することができるのだと思います

色んな将棋の楽しみ方をする

たまには、将棋イベントや将棋大会に参加して息抜きも
たまには、将棋イベントや将棋大会に参加して息抜きも

繰り返しになりますが、将棋で初段までに辿りつくためには、継続するということが大切です。そして、継続するためには飽きずに楽しまないといけないですよね。

将棋界は、他の世界と比べてプロとアマが割と身近なような気がします。野球の世界で、プロ選手とキャッチボールできる機会ってあんまり多くないですよね(想像ですが・・)。将棋イベントにでかけると将棋の棋士と直接対局できる「指導対局」があります。たまに将棋イベントにでかけることもおすすめですね。あとは、TVで将棋番組を鑑賞したり、ネットやSNSの広がりで将棋の楽しみ方は多様化していて、リアルタイムで将棋観戦もできます。棋士が食べたおやつなんかもみることができますよ。実戦や詰将棋については毎日やるに越したことはありませんが、そればかりしていると、子どもたちにとってはどうしても息の詰まってしまうこともあると思います。合間合間にこうした、息抜きのような将棋の楽し方をすることも初段まで継続して将棋を続けていくことのちょっとしたコツになるかもしれません。

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さて、本日は初段になるための総論のようなものを簡単に説明させていただきましたが、いかがでしょうか?いつつでは、これからも、将棋を始めた子どもたちが初段まで将棋を楽しめるよう、様々なコンテンツをお送りできればと思います。

この記事の執筆者中倉 彰子

株式会社いつつ代表取締役、女流棋士。女流アマ名人戦連覇後、94年高校3年生で女流棋士としてプロデビュー。プロとして公式戦を戦うだけでなく、NHK杯将棋トーナメントなどテレビ番組の司会や聞き手、イベント司会などでも活躍。私生活では3児の母親でもあり、育児と仕事の両立に奮起。2007年日本女子プロ将棋協会設立に参画。事業部長として、地域や子どもたちに長く親しまれるイベント作りを心がけている。子育てエッセーを地方紙7新聞に連載し、近年は将棋と知育・育児を結びつけるような活動を広く展開。2015年10月株式会社いつつを設立、代表取締役に就任。女流二段。法政大学人間環境学部卒。@AKIKOPDG

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