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連載:東京新聞「子育て日記」 2016年5月9日

挑戦する勇気 -プロ女流棋士中倉彰子 子育てブログ

中倉 彰子

毎年5月の末に行われる「みんなハッピー!LPSA将棋パーク」のイベントが、今年も開催されました。

ドキドキ駒積み競争!(駒をできるだけ高く積み上げる)、MY扇子・MY駒を作ろう!(扇子や駒に自分で好きな絵や文字を書く)等々、将棋が指せない人も楽しめるよう、色々なコーナーがあります。

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今年は、マイとマキも参加しました。会場に入ると、大会に参加しているご婦人達から「あら~、新聞見てるわよ~」と声を掛けられる二人。この日記のお蔭で、子供達もすっかり有名に(笑)。

今年は、将棋ファンの古田敦也さん(元プロ野球選手・監督)をゲストにお迎えし、トークショーや、妹の宏美(女流棋士)と席上対局を行いました。

古田さんの将棋の腕前は素晴らしく、この対局の模様は、ネットでも中継されました。 私は、今回は入門コーナーを担当。女性や親子の皆さんに、初歩から将棋を教えました。

マイは、私の横で指導の様子を見ています。「お友達と指してみる?」と聞く私に、尻込みするマイ。

しばらく私と子供とのやり取りを見ていると「指してみる!」とのこと。その時は、特に気に留めてはいなかったのですが…。

イベントが無事終了し、子供達もすっかり楽しんだ様子。MY扇子を手に持ち、ごきげんで家に帰りました。 次の日の朝食の時。

私「昨日はなんで急に指してみる気になったの?」
マイ「見ていて、勝てそうかなと思って。」

えっ?思いもよらない返事。そう言えば、大好きな通信対局も最近指さなくなっていた。負けるのがコワいのね。

でも、将棋を初めて覚えた子を前に、勝てそうかな、はないでしょう。まったく!
「それじゃあ強くならないよ!負けを怖がってちゃダメだよ。」
マイ「怖がってないもん!」いつもの言い合いに・・。

後から冷静になってみると、負けを怖がるのも、勝てそうな相手と指したくなるのも、人間の本能で自然なこと。マイは素直に話しただけなのに、ちょっと言い過ぎたかなと反省しました。

トークショーでの古田さんの言葉「もし失敗してしまっても、やってみて分かる事も多い。一番よくないのは何もしない事だと思いますね。」

どうしたら、子供達に「負けても挑戦して行く勇気」を持たせてあげる事ができるだろう。

ただ私自身も、強い相手との対局では、正直逃げ出したくなる時もあります(笑)。まずは、しっかり自分自身に言い聞かせて、実行して行かなくては!

【子供語録】
マイといつもの口ゲンカ。「もう!ママ、頭冷やしてくる!」家を飛び出し、近所をドライブし、帰宅。マキ(4つ)「ママ、どこに行ってたの?」ママ「ちょっと頭冷やしにね。」マキ「マキちゃんちの冷蔵庫で冷やせばいいのに。」ママ「そ、そうだね。」

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この記事は、東京新聞にて中倉彰子が連載している「子育て日記」と同じ内容のものを掲載しております。
:『東京新聞』2013年6月21日 朝刊

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この記事の執筆者中倉 彰子

中倉彰子 女流棋士。 6歳の頃に父に将棋を教わり始める。女流アマ名人戦連覇後、堀口弘治七段門下へ入門。高校3年生で女流棋士としてプロデビュー。2年後妹の中倉宏美も女流棋士になり初の姉妹女流棋士となる。NHK杯将棋トーナメントなど、テレビ番組の司会や聞き手、イベントなどでも活躍。私生活では3児の母親でもあり、東京新聞中日新聞にて「子育て日記」リレーエッセイを2018年まで執筆。2015年10月株式会社いつつを設立。子ども将棋教室のプロデュース・親子向け将棋イベントの開催、各地で講演活動など幅広く活動する。将棋入門ドリル「はじめての将棋手引帖5巻シリーズ」を制作。将棋の絵本「しょうぎのくにのだいぼうけん(講談社)」や「脳がぐんぐん成長する将棋パズル(総合法令出版)」「はじめての将棋ナビ(講談社)」(2019年5月発売予定)を出版。

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