株式会社いつつ

連載:東京新聞「子育て日記」 2016年5月9日

盤上の異文化交流 -プロ女流棋士中倉彰子 子育てブログ

中倉 彰子

実りの秋ですね。週末「芋ほり」に参加しました。土の中で大きな芋を見つけ、楽しそうに掘り上げる子供達。

翌日、絵本にお芋の絵が書いてあると2歳のシンは「おいも、掘ったよね~。」と興奮気味。スーパーで買えば、楽だし早いけど、こうやって土を掘って芋をみつける体験をさせてあげると、楽しい思い出として残るのだなと実感しました。

さて、先日「ムンド・デ・アレグリア学校」という南米系の外国人学校に将棋を教えに行く機会がありました。小学校には何度か将棋の講義をしたことはありましたが、外国人学校は初めて。

期待と不安で教室に行くと「こんにちは!」と元気よく挨拶をしてくれました。ブラジル文化を強く受けている子が多いとのことですが、日本語を良く理解できる子もいます、とのことでした。

和服での対局姿や、将棋の起源チャトランガというボードゲームの写真などを紹介しながら、日本将棋の文化や歴史などの話をしました。

興味津々で聞いてくれましたが、タイトル戦の合間にでる「おやつの写真」を見せると「美味しそう~!」と、これが一番反応が良かったです(笑)。

DSC_0505

将棋の駒は、漢字なので、動き方以前に漢字も覚えないといけません。

角を見せると「つの!」「そうだね。でも将棋だとかくと言うよ。」「かく?書くだね。」書くゼスチャーをしながら、覚えていきます。生徒同士でも通訳しながら教えあい、皆で理解しようとしてくれているのがわかります。

言葉でのコニュニケーションは、完全でなくても、将棋を通してこんなに楽しく交流できるなんて。私も「飛車は、縦横の動き。ウルトラマンのシュワッチ!みたいだね。」なんていうゼスチャーにも力が入ります(笑)。

実戦では小さい盤を使い、生徒と私で「王様をつかまえる」ゲームから。上手に捕まえられた生徒は「やった~!」と大喜び。表現も豊かで、こちらまで嬉しくなります。

学校の先生からは、「教員がずっと通訳に入ることも可能ですが、できる限り独力で日本語で理解してほしいというのが望みです。」とのこと。生徒への優しさを感じました。

子供達には、大人になったら南米と日本を結ぶ懸け橋として活躍してほしいなと願っています。

【子供語録】
○遠足の前日
明日は次女マキ(4歳)の遠足という日の夜
マキ「ママお弁当作らないと!」
ママ「朝早く起きて作るからだいじょうだよ。」
マキ「マキ、遅く起きちゃうからだめだよ!」
早く起きましょうね、最近ねぼすけ気味のマキちゃん。

○洋服選び
マイ(7才)は、毎朝洋服選びに時間がかかる。
マイ「ママ、今日のコーデ(コーディネートの意味)どうかな?」
ママ「いいと思うよ。」
マイ「まって、パパに聞いてみるから。」
だったら、最初からパパに聞きなさい~!

*
この記事は、東京新聞にて中倉彰子が連載している「子育て日記」と同じ内容のものを掲載しております。
:『東京新聞』2012年11月9日 朝刊

株式会社いつつの無料メールマガジンでは、3児のママであり、プロ女流棋士である中倉が日々の子育てで生かせる情報を発信しております。是非ともご登録ください。

この記事の執筆者中倉 彰子

中倉彰子 女流棋士。 6歳の頃に父に将棋を教わり始める。女流アマ名人戦連覇後、堀口弘治七段門下へ入門。高校3年生で女流棋士としてプロデビュー。2年後妹の中倉宏美も女流棋士になり初の姉妹女流棋士となる。NHK杯将棋トーナメントなど、テレビ番組の司会や聞き手、イベントなどでも活躍。私生活では3児の母親でもあり、東京新聞中日新聞にて「子育て日記」リレーエッセイを2018年まで執筆。2015年10月株式会社いつつを設立。子ども将棋教室のプロデュース・親子向け将棋イベントの開催、各地で講演活動など幅広く活動する。将棋入門ドリル「はじめての将棋手引帖5巻シリーズ」を制作。将棋の絵本「しょうぎのくにのだいぼうけん(講談社)」や「脳がぐんぐん成長する将棋パズル(総合法令出版)」「はじめての将棋ナビ(講談社)」(2019年5月発売予定)を出版。

関連記事

いつつへのお仕事の依頼やご相談、お問合せなどにつきましては、
こちらからお問い合わせください。

メールでお問い合わせ