株式会社いつつ

将棋を学ぶ 2016年7月1日

初心者におすすめ!自分にあった将棋関係書籍の選び方

中倉 彰子

よく「本を読むことは将棋上達のひとつの手法である」といわれますが、将棋に関連する本ってどれも難しそうで、どれから読んでいけばいいのか分からないということありませんか?

それにひとえに将棋の本といっても、大きく分けて読み物と上達のためのものの2種類があり、それらはさらに細分化できます。

例えば、読みものの場合は、将棋を題材とした「将棋漫画」や「将棋小説」、将棋を活用するビジネス書、棋士が書いている半生記、上達のためのものだと将棋のルールなどを解説した「入門書」に終盤の力を高めるための練習ができる「詰将棋本」、序盤の指し方の指針を示したり棋士の研究などを紹介した「定跡書・手筋書」、将棋に特化した情報の配信を行っている「将棋雑誌」など本当に多種多様です。

しかも、駒の動きを覚えた!といった初心者の方、あるいは将棋に少しだけ興味を持ち始めたという初心者一歩手前の方、その人それぞれで自分に合う本って違いますよね。ルールはなんとか大丈夫といった初心者レベルの方が、いきなり専門書である定跡本を読むのハードルが高いですし、何より楽しい気持ちがなくなってしまうかもしれません。

そこで今回は、「将棋上達したいけど(将棋についてもっと知りたいけど)何を読んでいいのか分からない!」という方に向けて、自分にあった将棋関連書籍の選び方について私なりに考えてみました(^ ^)

(姉妹編として、将棋関連の本の紹介をこちらの記事で行っています)

1.棋士から選ぶ

まずは好きなプロ棋士を見つけてみて。
まずは好きなプロ棋士を見つけてみて。

将棋関連書籍の中には、プロ棋士が執筆したものも多くなっています。

プロ棋士が執筆したからといって全ての本で、難しい将棋の議論を行っているわけではなく、エッセイ集や将棋に関する心構えを語った本など、執筆者の人となりがうかがえるものもたくさんあります。(最新の研究を書いているのものも多数ありますが・・。)

また、棋士に限らずその道の第一線で活躍する人(活躍した人)が執筆した本には随所に名言が隠れていたりして言葉の一つ一つが印象に残りやすい気がします。しかも憧れの人の言葉というのは他の人の言葉と比較して何倍も自分の心に響きますよね。

もしお気に入りのプロ棋士がいる方は、ぜひその人が書いた本を読んでみてください。

ちなみに、お気に入りの棋士はまだ見つかっていないという方には棋士の情報が掲載されている名鑑・図鑑等を一冊読んでみることもおすすめです。

さらに、もし身近に将棋イベントがあるようでしたら、実際に参加してみて、間近でプロの姿を見てみるというのもあります。JT日本シリーズなどは、トッププロの対局を見ることができます。全国展開をしているので、ご自宅に近い場所で行われている場合親子ででかけてみても良いと思います(^ ^)

定跡を少し覚えることができると、自分の好きな戦法もでてくると思います。そんな時に、自分の好きな戦法をよく使っている棋士は、あこがれると思います。また、逆にあこがれの棋士が使っている戦法は真似したくなるものですね。

おすすめの書籍:

まず、好きな棋士を見つけてみてください。

2.周辺知識から選ぶ 歴史・雑学を知ってより楽しく

将棋の雑学や歴史について知るのも面白いです。
将棋の雑学や歴史について知るのも面白いです。

将棋を文化として捉え、将棋の歴史・成立過程、工芸品としての将棋の盤駒、海外の将棋との比較などという観点から書籍を選び、読んでみるのも楽しいと思います。

特に、見た目が綺麗で、様々な手間や長い制作時間がかけられている工芸品である将棋駒について詳しく学ぶと、将棋の練習により熱が入るかもしれません。腕の立つ職人作り上げたが高い駒が欲しくなること間違いなしです(笑)

おすすめの書籍:

安恵照剛監修, 2003,『将棋のひみつ 学研まんが 新ひみつシリーズ』学研.
増川宏一, 1996,『将棋の起源』平凡社.
増山雅人, 2006,『将棋駒の世界』中央公論新社.

3.図書館で選ぶ

いつつのミニ図書館もけっこう将棋の本が充実しています。
いつつのミニ図書館もけっこう将棋の本が充実しています。

書籍を購入する前に、自分にあった本を見つけることができる場所が公立図書館です。

実は小さなまちの図書館でも、将棋コーナーが充実していることは結構多いです。将棋が世代を超えて愛されているということの証拠のひとつかもしれませんね。

私も図書館は大好きで、子どもたちを保育園に預けた後に、よく図書館で将棋の勉強をしていました。将棋盤駒は使えないので、詰将棋等が主でしたが、将棋コーナーの戸棚に行くと、面白うそうな読み物系の本もあり、ついパラパラとめくっと気がつくと読みふけっていました。お隣は囲碁やチェスのコーナーがあることも多いです。よく読んだのは、チェスの世界王者ガルリ・カスパロフの「決定力を鍛える」です。戦略と戦術、など興味深いことが多くあり、まず数ページこの本を読んでから、将棋の勉強をしていました。

図書館のいいところは、たくさんある将棋関連書籍を手当たり次第みてみることができるところでしょうか。実際に手にとって、本が自分に合うものかを確認できることは実はとても重要なことだと思います。

その代わりと言ってはなんですが、図書館の本は書き込みできませんし、ずっと手元に置いておくこともできません。ですので、気に入った本を見つけるために利用することが良いのではないかと思います。私も先の本は、購入し、線などを自由に引いています。

4.テレビから入る

テレビなら定期的に将棋の時間をつくれます
テレビなら定期的に将棋の時間をつくれます

見ればすぐわかるのに、言葉で説明するとなると、難しい、ということが良くありますよね。そこでおすすめなのは、NHK将棋講座でしょうか。

毎週日曜の午前中に、将棋講座と将棋トーナメントの対局が放映されるのですが、その内容の解説が書いてあるものです。

NHK将棋講座には、その他にもエッセイなども掲載されているので、将棋界の旬な動きも確認できます。

また、テレビのいいところとして定期的に放映されるということが挙げられます。
自分のペースでやろうとしすぎると途中で挫折してしまうこともあります日曜この時間は、放送をみて「将棋の時間」、と決めると、続けることができるかなと思います。

5.将棋漫画の中から選ぶ

将棋マンガでも、将棋を題材に物語が進んでいるものと、将棋のルールを漫画形式で知ることができるものとあります。前者は、漫画ではあるのですが、人生がテーマだったり、将棋の思考の内面を伝えたり、棋士(あるいは棋士を目指している)主人公で物語が展開されるものも多い気がします。その一方で、後者は将棋の難しいと思われるルールを、登場人物と周辺のキャラクターたちが教えていく、というものがあります。子どもにはそちらもおすすめですね。

「将棋漫画は初心者向け」、と思われているかもしれませんが、いろいろ将棋漫画を読んでいるいつつのスタッフによると、「私は分からないくらい難しい漫画が多い」とのことでした。将棋漫画は以外と幅広く様々な棋力の人が読むことができます。

とにかく漫画への興味は、我が娘も高いです(笑)。他には将棋界や棋士のことを、楽しく4コマまんがで書いている「おれたちしょうぎんぞく」も楽しいです。(蛇足ですが、私も昔登場させてもらったこともあります〜。)棋士の小粋なぼけつっこみは、おもわず笑ってしまいます。

おすすめの書籍:

『ひらけ駒』

菊池母のようにママもママなりに将棋を楽しんでみよう。
菊池母のようにママもママなりに将棋を楽しんでみよう。

『マサルの一手』

マサルとともに将棋を学ぼう!
マサルとともに将棋を学ぼう!

過去にいつつブログでも紹介しているのでぜひそちらも参考にしてみてください。

いつつのオンラインショップ神戸の将棋屋さんいつつでは、これから将棋を始めたいという将棋入門者・まだ将棋を始めたばかりという将棋初心者の方向けの書籍を多数取り扱っています( ´∀`)

今回の記事を参考に皆さんが自分にあった将棋関連書式を見つけてくれると大変嬉しく思います(^ ^)

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この記事の執筆者中倉 彰子

中倉彰子 女流棋士。 6歳の頃に父に将棋を教わり始める。女流アマ名人戦連覇後、堀口弘治七段門下へ入門。高校3年生で女流棋士としてプロデビュー。2年後妹の中倉宏美も女流棋士になり初の姉妹女流棋士となる。NHK杯将棋トーナメントなど、テレビ番組の司会や聞き手、イベントなどでも活躍。私生活では3児の母親でもあり、東京新聞中日新聞にて「子育て日記」リレーエッセイを2018年まで執筆。2015年10月株式会社いつつを設立。子ども将棋教室のプロデュース・親子向け将棋イベントの開催、各地で講演活動など幅広く活動する。将棋入門ドリル「はじめての将棋手引帖5巻シリーズ」を制作。将棋の絵本「しょうぎのくにのだいぼうけん(講談社)」や「脳がぐんぐん成長する将棋パズル(総合法令出版)」「はじめての将棋ナビ(講談社)」(2019年5月発売予定)を出版。

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