株式会社いつつ

連載:全国将棋道場巡り 2023年11月10日

七姉妹も通う?! 宮崎の地で親しまれている道場〜宮崎将棋道場〜

中倉 彰子

全国津々浦々、女流棋士の中倉彰子(以下彰子)が様々な将棋教室・将棋道場を訪れる「全国将棋道場巡り」。今回は宮崎にある宮崎将棋道場に行ってきました。インタビューしたのは、教室の運営をされている席主の竹貴之さん(以下竹さん)です。竹さんは宮崎支部連合会事務局長も務めております。

席主の竹貴之さん

お子さん中心の運営

彰子:今日は宜しくお願いします。まずは道場と教室についてお伺いします。いつから開講されているのでしょうか?またどんな年齢層の方が通われていますか?

竹さん:道場は午後から開いていて席料をお支払いいただけますとどなたでもご参加できます。道場はお子さんから年配の方まで幅広く対局を楽しまれています。子ども教室は10年ほど前から開講しています。現在は子どもさん中心の運営となっております。未就学児(年中さん)から、高校生までいらっしゃいます。 子どもさんと一緒に親御さんも参加されているご家族もいらっしゃいます。

彰子:家族で参加ができるのはいいですね!教室運営はどのようにされているのですか?

竹さん:席主である私(竹)と、元奨励会員でアマチュア全国大会でも入賞実績のある 久保田貴洋が中心となって教室を運営しております。初心者や級位者は私が担当し、有段者の方は久保田さんが指導します。

彰子:それはいいですね。お二人で役割分担をされているのですね。久保田さんもとても熱心に教えていますね。

アマチュア全国大会にて入賞実績の多い
久保田貴洋さん

宮崎将棋道場ならではのこだわり

彰子:畳の部屋もあるのですね?

竹さん:はい。こちらでは脚付の将棋盤もあります。YouTubeの撮影などもしています。

彰子:畳スペースはなかなかないですよね。区切られているスペースなのでここで落ち着いて対局をしたい方にはいいですね。YouTubeの撮影もされているのですね。よく見ると天井カメラもありますね!

彰子:宮崎将棋道場ならではの「こだわり」などはございますか?

竹さん:そうですね。教室の開催が月・水・金・土(現時点では)となっており、月謝を払って頂ければ 何回参加いただいても大丈夫になっております。 他の将棋教室と比較すると参加できる回数も多く、将棋が好きでやる気があれば、いくらでも学べる環境です。

畳スペースもあります

彰子:そうですね。私も小学校の時に地元の道場(東京都府中市)に1日置きに通っていました。実戦を多く指すと強くなりますよね。将棋好きなお子さんにはとても良い環境ですね。

彰子:教室運営で困っていること、難しいと感じることはどんな点でしょうか?

竹さん:教室に通う子どもさんの中には、「プロになりたい・挑戦してみたい」というお子様から 「友達と会えて、一緒に将棋ができるのが楽しい」というお子様等、参加されている理由も 様々です。 また、棋力も初心者~有段者まで幅広くいらっしゃいます。 一人一人に合わせた教室内容にすることに苦労しています。

彰子:なるほど。確かにそうですね。

彰子:道場といえば、この木の名札ですよねー。私の通った道場にもありました。級が上がるごとに名前の札が上がっていくのが楽しみでした。級の認定などはどのようにされていますか?

写真左上に、木の名前札がさがっています

竹さん:まずは教室に通い始めて、駒の名前を覚えたら15級を認定しています。 その後は、「駒の動かし方を覚えたら」「1手詰めができるようになったら」と できることが増えるたびに1級ずつ昇級しています。 10級から上は定期的に昇級昇段戦を実施しています。

宮崎県ご出身の棋士高崎一生さんの色紙も飾られています。

席主竹さんと将棋の出会い

彰子:席主の竹さんについてお伺いできればと思います。 将棋との出会いは?

竹さん:小学3年生の時、父と親戚が将棋を指しているのをみて興味を持ちました。 小学生の頃はクラスメイトと指していましたが、中学生になり周りが誰も指さなくなり主にネット将棋(将棋クラブ24)で指すようになりました。そして20歳くらいにはほとんど指さなくなり観る将となりました。

彰子:観る将なのですね!こちらの道場を担当されたのはどんなきっかけだったのでしょうか?

指す将から観る将棋、そして席主に

竹さん:子どもを教室に通わせるようになり、それが縁で自分も道場に通うようになりました。 保護者として、大会の運営等を手伝っていましたが、当時席主をされていた方が諸事情で 道場・子ども教室の運営を続けられなくなり、引き継ぐことになりました。

彰子:お子さんがきっかけだったのですね。竹さんのお子さんは、七人姉妹で皆さん将棋を指すのですよね!

竹さん:七女と六女はまだ小さすぎるので指せませんが、長女から五女まで指すことができます。

彰子:素晴らしいですね!七姉妹と聞いて驚きました。※私の所属する公益社団法人日本女子プロ将棋協会のYouTubeチャンネルで、竹姉妹と中倉姉妹「姉妹対決!」という企画があり、七姉妹さん達のことはそちらで詳しく聞かせて頂いております。

お子さんを飽きさせない

彰子:竹さんが自分のお子さんや道場に通うお子さんたちへの指導で心がけていること、工夫していることはありますか?

竹さん:子どもたちは飽きっぽいので、色々と工夫をして飽きない様にしています。

彰子:確かにそうですね。こちらの大盤もその工夫の一つでしょうか?

お父様の手作り大盤将棋で四女のまりさんと練習対局

竹さん:はい。私が作りました。

彰子:これは楽しそう。いつつ教室のお楽しみプログラムで、ホワイトボードに貼ってある大盤を机に置いてリレー将棋をすることがあります。これはいつでもできるのでいいですね!ホワイトボードに貼ってある大盤は後手番が指しにくいですが、この大盤は先後関係なく指しやすいですね。 子どもたちへの指導で、やりがいや嬉しさを感じる点はどんな時でしょうか?

竹さん:詰将棋解答のタイムを計測していますが、それがドンドン速くなっている時。 自分と対局して強くなっていることを感じた時。 大会等で子どもさんが良い成績を残したり、成績は良くなくても「内容が良かった」と 教えて貰った時・・・などなど、沢山ありますね。

彰子:確かに。そのような成長を感じると講師として励みになりますよね。

宮崎将棋道場の目標

彰子:今後の道場の目標などありましたら教えてください。

竹さん:当道場の子ども教室の目標は

  1. 今よりももっと将棋が好きになること
  2. 挨拶がしっかりできるようになること
  3. ルールをしっかり守れるようになること

です。 将棋という素晴らしいゲームを通して、子供たちが将棋以外でも活躍できるような考える力・継続する力・自分で判断する力・他人を思いやる力、こういった力を伸ばしてもらいたいです。

彰子:本当にそうですね。こちらのブログを読んで、行ってみたい!と思ったらまずどのようにすれば良いでしょうか?

竹さん:お電話でも構いませんし、直接来ていただいても構いません。 駒の動かし方が分からなくても、丁寧に指導致しますので、いつでもお越し下さい。

彰子:わかりました。今日はお話を伺いまして本当にありがとうございました。

編集後記

道場に入ると、なんだか懐かしい記憶が蘇りました。私と妹も小さい時から将棋道場に通っていました。お子さんから高齢の方まで皆が将棋を楽しんでいる空間がそこにはありました。

席主の竹さんは、七姉妹のお父様でもあります。本当に仲の良い姉妹です。お父様は、姉妹の中で励ましあったり困ったことを解決したりと、チームワークが育つのが良いとおっしゃっていました。本当にその通りで、YouTube企画で、残念ながら負けてしまった子を皆でそれとなくフォローしている姿が印象的でした。長女さんや次女さんは、皆を引っ張っていくリーダー的存在でとてもしっかりしていました。

訪問後、竹さんから、「今回の対局が子供達の将棋に対するモチベーションのアップにも繋がった様で、とても良い機会でありました。」と嬉しいメールをいただきました。こちらこそ、姉妹愛に溢れた彼女達と楽しい時間を過ごすことができました。ありがとうございました。

将来宮崎将棋道場から女流棋士や棋士が誕生するかもしれませんね。本当に楽しみです。

宮崎将棋道場、1階が駐車スペースになっています
竹姉妹と一緒にパチリ※一番右が彰子・隣は妹の宏美(中倉宏美女流二段)
道場名称 宮崎将棋道場
場所 宮崎県宮崎市大塚町流合4990
開講日時 月曜日 17:30~19:00
水曜日 17:30~19:00
金曜日 17:30~19:00
土曜日 10:00~12:00(午前の部) / 13:00~17:00(午後の部)

いつつHPに内にある将棋教室・道場検索では全国の将棋教室・道場を紹介しています。 宮崎将棋道場もご登録いただいています(^ ^)  

他にもいつつブログでは、様々な将棋道場を紹介しています。ご興味あれば、ぜひご一読ください(^ ^)

この記事の執筆者中倉 彰子

中倉彰子 女流棋士。 6歳の頃に父に将棋を教わり始める。女流アマ名人戦連覇後、堀口弘治七段門下へ入門。高校3年生で女流棋士としてプロデビュー。2年後妹の中倉宏美も女流棋士になり初の姉妹女流棋士となる。NHK杯将棋トーナメントなど、テレビ番組の司会や聞き手、イベントなどでも活躍。私生活では3児の母親でもあり、東京新聞中日新聞にて「子育て日記」リレーエッセイを2018年まで執筆。2015年10月株式会社いつつを設立。子ども将棋教室のプロデュース・親子向け将棋イベントの開催、各地で講演活動など幅広く活動する。将棋入門ドリル「はじめての将棋手引帖5巻シリーズ」を制作。将棋の絵本「しょうぎのくにのだいぼうけん(講談社)」や「脳がぐんぐん成長する将棋パズル(総合法令出版)」「はじめての将棋ナビ(講談社)」(2019年5月発売予定)を出版。

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