全国将棋道場巡り

2019年6月10日

地域の方々が育む子ども教室〜みずなら将棋教室〜

全国津々浦々、女流棋士の中倉彰子(以下彰子)といつつのスタッフが様々な将棋教室・将棋道場を訪れる「全国将棋道場巡り」。今回は北海道にある北海道将棋会館にて開催されている子ども教室「みずなら将棋教室」へ行ってきました。インタビューしたのは、教室の運営をされている滝野沢和則さん(以下滝野沢さん)と斎藤和紀さん(以下斎藤さん)です。

左が斎藤さん、中央が滝野沢さん

学生が指導の中心

彰子:今日は宜しくお願いします。まずは教室についてお伺いします。「みずなら将棋教室」の開講曜日はいつですか?

滝野沢さん:子ども教室は土曜日の午前中。 9時からです。

彰子:どれくらいの年齢層のお子さんが通っているのでしょうか?

斎藤さん:幼稚園の年長から中2くらいです。会員は57名ほどいるのですが、そのうち毎週来る子は20人くらいで、 女の子は4・5人くらいいます。

彰子:たくさんいらっしゃいますね。教室運営はどのようにされているのですか?

滝野沢さん:基本的には学生が中心となり指導をしています。学生の大会が重なった時などは、社会人の支部の方が手伝ってもらうこともありますが。

彰子:そうなのですね!学生さんはなぜ手伝ってくれるのでしょうか?

滝野沢さん:人がいいから(笑)。

斎藤さん:(笑)。私は現在社会人1年目ですが、実は私も学生の時からこちらのお手伝いをさせていただいています。わたしの場合、本格的に将棋をはじめたのは北海道大学の将棋部に入部してからなのですが、そこで先輩方に一緒に手伝わないかと誘われたのがきっかけでした。思い返せば、自分たちも小さい時に将棋を教わってきましたから、恩返しのような気持ちもあります。

彰子:地域でそのような将棋のつながりがあるんですね。

子どもたちと同じ目線で

彰子:将棋教室を運営するにあたって、みずなら将棋教室ならではの工夫はありますか?

滝野沢さん:そうですね。工夫というより、売りとしては、講師の手厚さではないでしょうか。最近はスタッフ5人体制で指導にあたっています。学生が多いので上からではなく子どもたちと同じ目線で教えることができるのがいいのではないでしょうか。

斎藤さん:そうですね。子どもたちからすると、先生というよりはお兄さん的な存在だと思います。

彰子:レッスンはどのような流れで行うのでしょうか?

滝野沢さん:大まかな教室の流れを説明しますと、9時からまず40分間詰将棋をして、その後、A、B、C1、C2の4つのクラスに分かれて詰将棋の解説とリーグ戦での対局を行います。午後からは、道場としての時間になります。

彰子:最初は詰将棋から始まるのですね。

滝野沢さん:お手製の詰将棋プリントを作成しています。クラスが4つにわけていますので、詰将棋もクラス別に準備しています。

かわいいイラスト入りの詰将棋問題。
レベル別に出せれる詰将棋プリント

彰子:可愛いイラストがあったりと、子どもも喜びそうですね!

滝野沢さん:はいそうですね。最近は必死問題や持ち駒を当てる詰将棋なども作っています。

彰子:リーグ戦はどのように進めてますか?

斎藤さん:詰将棋と同じように、 A、 B、C1、C2の4つのグループに分け、これを一日で消化していきます。

彰子:同じくらいのレベルでリーグ戦ができるのはいいですよね。いつつ将棋教室でも時々プログラムの一環として「名人リーグ」や「王将リーグ」などを作っています。あれ?このリーグ戦には先生も入っているのですか?

斎藤さん:はい、どのリーグ戦にも必ず先生がはいるようにしています。Aリーグになればレベルもあがるので、先生は平手で対局します。他のリーグは、子どもの棋力をみながら駒落ちなどをしています。

彰子:それは良い工夫ですね。全部負けてしまいそうな子も、駒落ちでも先生に勝てると嬉しいですもんね。

長い時間を共に過ごして自然に仲良く

彰子:午後からはそのまま道場にも参加できるんですね?!

滝野沢さん::道場が13時からですので、一旦家に戻ってお昼を食べからくる子どももいますが、だいたいは、皆で一緒にここでお弁当を食べたりしています。一緒にいる時間が自然と長くなるので、やっぱり子どもたちどうし仲良くなりますね。

彰子:とても楽しそうですね。学校とはまた違ったお友達ができるのがいいですね。さまざな学年の子もいますし。

「いつつだより」も置いてあります。

彰子:少し話が変わりますが、ここまで熱心に普及活動をされている滝野沢さんの将棋との出会いについてお伺いしたいと思います。

滝野沢さん:将棋との出会いは小学生1年生の頃、骨折して入院したのがきっかけでした。入院中に、同室にいた大人の方が教えてくれました。1日20局とかかなり多く指したと思います。退院するころには普通は指せるようになってましたね、笑。2年生くらいになると、担任の先生にも勝てるようになっていきました。その後、スポーツで少し将棋から離れた時期もありましたが、NHK杯将棋トーナメントは欠かさぜず見ていましたね。

彰子:こちらの教室を開いた経緯を教えてください。

滝野沢さん:北海道支部連合会会長の工藤学会長を中心に将棋普及について話をした際、これからすることとして児童会館巡りと会館での教室・道場運営の2つが挙がりました。そこで、後者の指す将棋の指導は、私と以前教室運営をされていた島井さんの二人でやっていこうということになりました。1年間仕事が忙しくなかなか手伝えない時期もありましたが、少し落ち着き、また小6の娘が将棋をやりたいと言い出したこともあり普及活動を再開しました。

彰子:娘さんから将棋をしたいだなんてすごく素敵ですね。また、「児童会館を巡る」という活動は、以前工藤さんからお聞きしたことがあります。『はじめての将棋手引帖』も使っていただいたようで・・。その節はありがとうございました。こうした地元の方々の想いがあるのですね。教室で指導されていて、やりがいはなんでしょうか?

滝野沢さん:やはり子どもたちが強くなっていく過程とか成長する姿ををみるのがうれしいですね。こちらに通っていて今奨励会入会した子もいますよ。

彰子:期待の星ですね!すごいです。最後になりますが、ずばり「将棋の魅力」はなんでしょうか?

滝野沢さん:そうですねぇ。いい将棋をさせた時は、単純に面白いですよね。いろんなことを考えますし、集中力・忍耐力・判断力はつくと思います。

斎藤さん:年齢関係なく楽しめるのがいいなと。将棋教室は年齢が幅広い楽しむことができます。

彰子:今日はお話を伺いまして、ありがとうございました。

編集後記

北海道の出身棋士は多いです。この日の夕方には、竜王というタイトルを獲得した広瀬章人竜王の地元の方のお祝い会がありました。北海道が生んだスーパーヒーローの存在は、きっと将棋教室に通っているお子さんの憧れの存在になることと思います。地域の方々の関係が希薄になってきている昨今、地元の方々のこうした熱心な将棋の取り組みは、年齢関係なく、おじいちゃん、学生さん、子どもたちを結びつけている活動といえます。「将棋を楽しむ」ということが個人ではなく、地域の人々の交流につながっていることを嬉しく感じました。地元に住んでいらっしゃる女流棋士では、久津知子さんと石高澄恵さんがいらっしゃいます。取材のすぐ後に久津さんが主催する将棋の会への指導対局もさせていただきました。

これからも北の大地の豊か自然と温かい人柄の「みずなら教室」から、心豊かな子どもたちが育つことことでしょう。

新竜王広瀬さんのお祝いの会にて。(左:久津知子女流棋士)
道場名称 みずなら将棋教室
場所 札幌市中央区南2条西10丁目1000番20ダイメックス札幌南2条ビル2階
営業時間

毎週土曜日9:00~12:00 13:00〜自由対局

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この記事の執筆者中倉 彰子

中倉彰子 女流棋士。 6歳の頃に父に将棋を教わり始める。女流アマ名人戦連覇後、堀口弘治七段門下へ入門。高校3年生で女流棋士としてプロデビュー。2年後妹の中倉宏美も女流棋士になり初の姉妹女流棋士となる。NHK杯将棋トーナメントなど、テレビ番組の司会や聞き手、イベントなどでも活躍。私生活では3児の母親でもあり、東京新聞中日新聞にて「子育て日記」リレーエッセイを2018年まで執筆。2015年10月株式会社いつつを設立。子ども将棋教室のプロデュース・親子向け将棋イベントの開催、各地で講演活動など幅広く活動する。将棋入門ドリル「はじめての将棋手引帖5巻シリーズ」を制作。将棋の絵本「しょうぎのくにのだいぼうけん(講談社)」や「脳がぐんぐん成長する将棋パズル(総合法令出版)」「はじめての将棋ナビ(講談社)」(2019年5月発売予定)を出版。

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