将棋を楽しむ

2016年9月1日

知らなかった!将棋駒のひみつ5つ

以前にいつつブログで天童市在住の駒職人・掬水さんに将棋の駒づくりについて色々とお話しを伺ったのですが、せっかくなので、今回は将棋の駒についてもう少し掘り下げてみたいと思います。

かなりマニアックな内容となっておりますが、目からウロコなものも多いので、ぜひ覚えて他の人と差をつけちゃいましょう、笑

8月9日、弊社が所有する第74期名人戦第3局の将棋駒の製作者である、「掬水」こと桜井和男さん(以下和男さん)に、将棋の駒づくりについてお話...

1.「龍王」の龍は昇り、「龍馬」の龍は降り

龍王は昇り龍、龍馬は降り龍を表現
龍王は昇り龍、龍馬は降り龍を表現

本将棋の大駒といえば飛車・角ですが、この二つが「成る」と飛車は「龍王」に、角は「龍馬」になります。

しかし「龍王」と「龍馬」、同じ「龍」という文字を使うにもかかわらず、駒に描かれる二つの文字を見比べると、ちょっぴり形が違うのを皆さんご存知でしょうか?

二つの字に違いが見られるのは漢字の右側、つくりの部分です。「龍王」の龍の最後の1画が下から上へと跳ね上がっているのに対し、「龍馬」の龍は右から下へと一旦下がっています。

「龍」が指すのはもちろんあの伝説上の生き物です。ドラゴンボールのシェンロンや「日本昔ばなし」のオープニングでもそうなんですが、なぜか龍って天に向かって昇っていく姿を想像しちゃいますよね、笑

なので、龍王のモチーフが昇り龍、龍馬は龍王と見分けが付きやすいようにと降り龍になったとされているようです。

※まれに「龍王」と「龍馬」が全く同じ形の駒もあるようです。

2. 金将にはいい駒木地(将棋の駒の土台となるもの)が使われる

裏に字のない金将には美しい柾目の木地が使われる。
裏に字のない金将には美しい柾目の木地が使われる。

以前にいつつブログ「人に自慢したくなる!将棋用品にまつわる5つの雑学〜盤駒編〜」にて、虎の模様に似た「虎斑(とらふ)」や木の根っ子を使った「根杢(ねもく)」など複雑な文様が浮かび上がる木材は特に高級であるというお話をしました。

しかし、せっかくの美しい模様もそこに駒字が入ってしまうことで、文字の方にどうしても目が行ってしまい、駒木地(将棋の駒の土台となるもの)美しさには誰も気づいてくれなくなってしまいます。

そこで、駒師たちは将棋を指す人たちに駒木地の模様に目を向けてもらうために、ある工夫を凝らします。

それが、「金将」の駒により高級な駒木地を使用するということです。

「金将」は、「玉将」「王将」を除いて唯一「成る」ことができない駒です。つまり、駒の裏に文字が書かれていません。そのため、木材の複雑で美しい模様を存分に味わうことができるというわけです。

3.「成銀」を制するものこそ駒マニア

クセのない成り銀が1番見分けにくい
クセのない成り銀が1番見分けにくい

「銀将」の「銀」という字は、他の文字(金、桂、香、歩など)と比較して画数が多いため、作り手の個性が反映しやすいとされています。しかしその一方で、「銀将」がなったときの「成銀」は、ほとんど曲線が用いられず、ほぼ直線のみで形どられるため、同じ「金」という文字でも、「成桂」や「成香」の「金」と比べて特徴が出にくく、駒師たちの中でも個性を発揮しにくい駒だとされています。

しかし、見分けが難しいからこそ、逆に「成銀」で作者や書体が区別できるようになると、相当な将棋駒好き、「駒マニア」と呼ぶことができるでしょう。

4.大駒の方が割れやすい?!

縦に太い線を彫る飛車が1番割れやすい!?
縦に太い線を彫る飛車が1番割れやすい!?

対局中に駒が割れてしまうようなハプニングというのはほとんどないと言っても過言ではありませんが、もし万が一、駒が割れるようなことがあるとすれば、
皆さん、「歩兵」のように小さく薄い駒を想像するのではないでしょうか?

しかし、「将棋駒の世界」(中公新書)の著者であり、駒師・酔棋としてもたくさんの駒を作成してきた増山雅人氏によると、「駒が割れる」ということがあるとすれば、それは「飛車」の駒なのだという。

「飛車」という文字の場合、「飛」という文字にも「車」という文字にも縦にまっすぐの深く太い線があるのですが、この線が割れの原因になってしまうようです。特に柾目(まさめ)(まっすぐ通った縦線の模様)の駒木地が使用されている場合はより割れやすくなっているようです。

5.桂馬の「桂」の意外な正体

桂馬の桂って!?
桂馬の桂って!?

「金」や「銀」、「歩兵」などはともかく「桂馬って一体なんだろう?」と思ったことありませんか?

将棋盤の素材である「桂(かつら)」という一節もあるのですが、その一方で「肉桂」などの表記もあることから、ニッキやシナモンという香料という説もあるそうです。

ちなみに、かつてこれらの香辛料は金銀と交換されるほどに高級品だったとされており、言語学者である金田一京助も「将棋金銀財宝説」の中で、将棋は「玉、金、銀、桂、香と珍宝佳品の形容がついて美しくなっているのである」と語っているようです。

さて、今まで知らなかった(知っている人もいるかもしれませんが)、将棋駒のひみつについて色々紹介してみましたがいかがでしたでしょうか?

将棋駒って1つ1つがとても小さいものですが、その質量や大きさからは想像できないほどに奥深いですよね(^ ^)

「いろいろ人と沢山対局して強くなる」というのが、将棋の楽しみ方の王道かもしれませんが、こうした「将棋の道具の奥深さ」に触れてみるというのも私たちが将棋に親しむための一つの方法ではないでしょうか。

参考文献:「将棋駒の世界」(中公新書)増山雅人著

実際に将棋の駒を見せながら、今回の記事でご紹介したひみつをぜひお子さんにも話してあげてください( ´∀`)

いつつのオンラインショップ神戸の将棋屋さんいつつでは、将棋駒をはじめ、子どもたちのための将棋グッズを多数取り揃えています。

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この記事の執筆者金本 奈絵

株式会社いつつ広報宣伝部所属。住宅系専門紙の編集記者を経て現在に至る。

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