東京新聞「子育て日記」

2016年5月9日

あっちゃん -プロ女流棋士中倉彰子 子育てブログ

半月ほど前、友人が突然病に倒れ、数日前にこの世を去った。あっと言う間の出来事で、まだその事実を受け止められないでいる。

あっちゃんは、小・中学校の同級生。中学卒業後、しばらく会っていなかったが、互いにママとなり、保育所で思いがけず再会。長女と次女が、共に同じ年だったこともあり、すぐに意気投合。お迎え時に一緒になると、おしゃべりをしたり、お休みの日には、子供連れで、家に遊びにきてくれた。育児の悩みもよく話した。

いつも明るく、笑顔を絶やさない彼女の周りには、自然と保育所のママさん達が集まった。

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朝早く子供を保育所に預けてから、毎日電車で通勤。中学時代もクラス委員をしていてしっかり者だったが、社会人になってからも、仕事と育児をよくこなしていた。彼女の頑張っている姿を見て、何度も勇気づけられた。

彼女が倒れてから、友人の提案で、保育所のママさん同士でサポート体制を作る事になった。各家庭で、子供のお迎えや夕食の手伝いができる日を出し合い、サポート一覧表を作った。みんなが一心に彼女の回復を祈り、そして、彼女の子供達の事を心配していた。

ご主人は、看病と子供の世話などで、どれだけ大変だっただろう。そんな最中にも、私達の事も気遣い、時折、病状の報告と、皆が送っている沢山の応援メッセージを、耳元で伝えて元気づけていると、メールを送ってくれた。

数日後、ご主人から悲しいメールが届く。薬や装置に頼りながらも精一杯頑張ったこと、最期は、心配停止と心臓マッサージによる蘇生の繰り返しでしたが、家族一同が病院に揃うまで頑張ったこと。最後は、友人達への感謝の気持ちが綴られていた。

翌日自宅に戻った彼女に会った。病院であった時とは違い、穏やかな表情をしていた。ご主事は「何もしてやれなくて後悔ばかり。」と言っていたけれど、あっちゃんは、優しいご主人と出会えて幸せだったに違いない。

まだ小さな子供達が受け止めるには、あまりにも大き過ぎる事実。その事を思うと、胸が張り裂けそうになる。
どうか、お父さんの深い愛情の中で、乗り越えて行って欲しい。

もう少し大きくなったら、私の知っている彼女の事を、伝えてあげたい。
いつも笑顔で、誰にでも優しく、何よりも、あなた達のことをいつも気にかけていた。本当に、本当に素晴らしい人だったと。

私にもいろんな事を教えてくれた。ありがとう、あっちゃん。

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この記事は、東京新聞にて中倉彰子が連載している「子育て日記」と同じ内容のものを掲載しております。
:『東京新聞』2012年7月20日 朝刊

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この記事の執筆者中倉 彰子

株式会社いつつ代表取締役、女流棋士。女流アマ名人戦連覇後、94年高校3年生で女流棋士としてプロデビュー。プロとして公式戦を戦うだけでなく、NHK杯将棋トーナメントなどテレビ番組の司会や聞き手、イベント司会などでも活躍。私生活では3児の母親でもあり、育児と仕事の両立に奮起。2007年日本女子プロ将棋協会設立に参画。事業部長として、地域や子どもたちに長く親しまれるイベント作りを心がけている。子育てエッセーを地方紙7新聞に連載し、近年は将棋と知育・育児を結びつけるような活動を広く展開。2015年10月株式会社いつつを設立、代表取締役に就任。女流二段。法政大学人間環境学部卒。@AKIKOPDG

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