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連載:東京新聞「子育て日記」 2016年5月9日

末っ子のデビュー戦 -プロ女流棋士中倉彰子 子育てブログ

中倉 彰子

先日、末っ子のシン(5歳)が初めて将棋大会
に出場しました。毎年3千人が集まる大きな大会で、昨年はマイ(10歳)とマキ(7歳)が参加しました。

今回は、二人ともほとんど興味を示さず不参加。そんな中「ぼく、出る!」とシン(5歳)が元気よく立候補。

ただ、シンのレベルは駒の動かし方がわかる程度。「シン大丈夫なの~?」とお姉ちゃんたちも半信半疑。夕食後に将棋タイムを設けて、みんなで練習することにしました。

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さて、迎えた大会当日。マイがシンの様子を見たいと付き添うことに。3人で電車とバスを乗り継ぎ、会場の東京ビッグサイトへ。

シンは低学年の部の、割り振られた椅子に座ります。保護者は線が引いてあるラインの外で見守ります。

ここからはシン一人。不安そうにこちらを見るシン。まだまだ甘えん坊の我が息子。「やっぱりやだー。」と戻ってきたらどうしようと、不安になりました。

しばらくすると、大きなお兄ちゃんが、シンの向かいの席に座りました。「なんだか強そうだね。」と心配そうなマイと私。

「お願いします。」ペコリとお辞儀をして試合開始。序盤はまずまずの出だし。相手は「えっ、ちっちゃいのに定跡知っているの?」という表情(に見えた)。感心しながら見ていると、大事な場面でまったく関係のない両端の香車を動かすシン。

ガクッ。おもわず撮影していたビデオを落としそうになりました(笑)。その後はチラチラこちらを見たり、首を傾げたり。真剣に、でも楽しそうに将棋を指している様子を見ていると、親バカですが幸せな気分になりました。

玉を詰まされ小さな声で「負けました。」。そのあと、こちらを見てニッコリ。「うん、よくがんばったね。」という表情で私も頷きを返しました。

シンは、3局目あたりから場慣れをしてきて、対戦相手や隣りのお兄ちゃんと、笑いながら話しをしています。

いつもの保育所にいる時のシンの表情です。対局後に「こうすれば良かったよ。」とお兄ちゃんに教わりうなずくシン。「将棋は年齢に関係なく楽しめるゲーム」シンの姿を通して、本当にそうだと実感しました。

まだ大会は早いかなと不安でしたが、参加させて良かったと思いました。

家に帰るとすぐに、マイがシンを誘って将棋を指し始めました。ずっと将棋を見続けていたので、指したくなったようです。

将棋って、見ていると今度は指したくなるゲームなんですよね。二人の将棋を横で見ているマキ。来年の大会は3人とも「出場する!」と張り切っています。

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この記事は、東京新聞にて中倉彰子が連載している「子育て日記」と同じ内容のものを掲載しております。
:『東京新聞』2015年11月27日 朝刊

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この記事の執筆者中倉 彰子

中倉彰子 女流棋士。 6歳の頃に父に将棋を教わり始める。女流アマ名人戦連覇後、堀口弘治七段門下へ入門。高校3年生で女流棋士としてプロデビュー。2年後妹の中倉宏美も女流棋士になり初の姉妹女流棋士となる。NHK杯将棋トーナメントなど、テレビ番組の司会や聞き手、イベントなどでも活躍。私生活では3児の母親でもあり、東京新聞中日新聞にて「子育て日記」リレーエッセイを2018年まで執筆。2015年10月株式会社いつつを設立。子ども将棋教室のプロデュース・親子向け将棋イベントの開催、各地で講演活動など幅広く活動する。将棋入門ドリル「はじめての将棋手引帖5巻シリーズ」を制作。将棋の絵本「しょうぎのくにのだいぼうけん(講談社)」や「脳がぐんぐん成長する将棋パズル(総合法令出版)」「はじめての将棋ナビ(講談社)」(2019年5月発売予定)を出版。

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