将棋を楽しむ

2016年9月15日

将棋をもっと楽しむために、名人戦について詳しくなろう!

いつつブログでたびたび登場する「いつつの盤駒」。「いつつの盤駒」とは、今年行われた第74期名人戦第3局で佐藤天彦八段(当時)と羽生名人(当時)が実際に対局を行った将棋の盤駒です。

いつつでは、いつも子ども将棋イベントなどを通じてこの「いつつの盤駒」を子どもたちに使ってもらうわけですが、その目的は、子どもたちに日本伝統文化としての将棋について理解を深めてもらうためです。

いつつの盤駒
いつつの盤駒

しかしながら、「これは名人戦で使われた盤駒です」と漠然と説明されたところで、「名人戦ってなぁに?」「名人戦ってどれだけすごいの?」と、その意味や意義について、将棋に初めて触れる将棋初心者の子どもたちにはあまりピンとこないですよねヽ(´o`;

以前いつつブログで紹介した「将棋名人戦盤駒〜ものづくりの視点から碁盤職人を語る〜丸八碁盤店訪問記」や「使い込むことで変化する道具の魅力〜将棋駒職人・掬水さんに駒作りについて聞いてきました〜」の記事では、ひたすらものづくり観点から見た「いつつの盤駒」についての価値をお伝えしたのですが、今回は将棋の名人戦がいかに歴史のある戦いなのか、そしてその名人戦で頂点に立って名人になることがどれほど大変で名誉なことなのかなどについて紹介したいと思います。将棋を始めたばかりの子どもたちには少し難しいお話になるかもしれませんが、将棋を好きになればなるほど興味深い分野だと思うのでぜひご一読してくださいね( ^∀^)

将棋名人戦盤駒〜ものづくりの視点から碁盤職人を語る〜丸八碁盤店訪問記
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1. 名人戦ができるまで

将棋界には7大タイトルと呼ばれる大きな棋戦(大会のことです)が7つあり、中でも名人戦は7つの棋戦の中でも最も長い歴史を持つ格式高い棋戦で、名人戦で頂点に立った棋士には「名人」の称号が与えられます。(ちなみに名人戦以外の7大タイトルは、竜王戦・王位戦・王座戦・棋王戦・王将戦・棋聖戦)

さて名人戦の歴史についてですが、名人戦の歴史を知るためには、まず「名人」のという称号の起源について知っておく必要があります。

日本で初めて名人という言葉を発したのは織田信長だと言われています。江戸時代の囲碁の名家である本因坊家、その初代算砂の碁を見た信長が「名人」として任命したとされています。その後算砂は、徳川幕府の命により碁打ち・将棋指しの最高位である連絡係に任命され、慶長17年に将棋所(しょうぎどころ)を大橋分家(江戸時代の将棋の分家)に譲ったことを契機に、大橋本家、大橋分家、伊藤家(駒の並べ方でもおなじみですよね(^ ^))の中から最も将棋の強いものが「名人」の称号を受け継ぐようになりました。ちなみに今でも、ある物事に秀でた人物を指して「○○名人」と言いますが、それはここから来ているとされています。

江戸時代の大橋分家への将棋所譲渡以降、上記三家による世襲制で受け継がれてきた「名人」の称号※ですが、昭和初期に差し掛かったところで大きな変化が訪れます。それが実力制への移行です。またそのことにより「名人」の称号をめぐって実力ある棋士が凌ぎを削り合う「名人戦」が発足しましました。

※ 正確には、十二世名人、十三世名人は将棋界の年功ある実力者が推挙され「名人」を名乗っていました。

2. 名人戦のシステム

第74期名人戦で佐藤八段(当時)を迎えうつ羽生名人(当時)
第74期名人戦で佐藤八段(当時)を迎えうつ羽生名人(当時)

昭和初期の発足以降、名人戦のシステムは様々な変遷を歩んでいるのですが、現行のルールは以下の通りです。

  1. プロ棋士はその成績によりA級、B級1組、B級2組、C級1組、C級2組の5つの階級にランク分けされているが、名人への挑戦権をめぐる戦いに名乗りを挙げることができるのはその中でも上位10名が所属するA級の棋士のみ。
  2. A級に所属する棋士の中で、年間を通して行われる総当たりのリーグ戦で、トップの成績を収めたものが晴れて名人への挑戦権を持つ。
  3. 名人と挑戦者の対決は7番勝負。2日間に渡る対局を制し、先に4勝した方が当期の名人となります。ちなみに現名人は冒頭にもあるように佐藤天彦名人です。

3. 「名人」という称号

第74期名人戦で羽生さんを下し、新名人となった佐藤名人
第74期名人戦で羽生さんを下し、新名人となった佐藤名人

4〜6人。これは1年のうちに新たにプロ棋士になれる人の人数です。この数だけ聞いてもプロ棋士になるということがいかに難関かお分かりいただけると思います。2の項目でも少し触れたように、「名人戦」では、この超難関の試練を乗り超えてきたプロ棋士集団の中でも、ピラミッドの頂点に君臨する10人どうしの闘いでたった一つの席を狙わねばなりません。つまり、毎回強敵を迎えなくてはならないにもかかわらず、その全てが負けられない対局になるわけです。それゆえ、7大タイトルの中でも名人戦は最難関のタイトルであると言われており、たとえ他のタイトルを保持していたとしても、その肩書きは「名人」になります。

また、名人は竜王戦の覇者である竜王とともにアマチュアに与えられる段位免状への署名など、様々な役割を担います。

ちなみに、「名人」の称号を通算5期以上獲得した棋士には、原則プロ棋士引退後に「永世名人」の称号が与えられます。

さて少し長くなりましたがいかがでしたでしょうか?子どもたちにはやっぱり少し難しかったですかねヽ(´o`;

いつつでは、将棋教室も含めて、まずは子どもたちに楽しく将棋を指してもらうことを第1としていますが、将棋の歴史的背景や将棋の文化としての側面に触れてもらうことで、子どもたちに将棋のより奥深い部分を体感してもらえればと考えています。

今回、「名人」という称号の歴史や、ストイックなまでの名人戦のルールを詳しく知ることで、普段なんとなく耳にしている「名人」という言葉や、ニコニコ動画での対局観戦、そして「いつつの盤駒」が子どもたちにとって少しでも違って見えているのなら、それは大変嬉しく思います( ´∀`)

参考文献:「プロ棋士名鑑2015-2016」(宝島社)

いつつ将棋教室では、将棋における木の文化、礼儀作法を大切にしています。

いつつが運営するオンラインショップ神戸の将棋やさんいつつでは、子どもたちの将棋上達をサポートする将棋書籍をたくさん取り扱っています。

この記事の執筆者金本 奈絵

株式会社いつつ広報宣伝部所属。住宅系専門紙の編集記者を経て現在に至る。

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