株式会社いつつ

将棋を楽しむ 2016年3月23日

ママ女流棋士が教える!習い事に将棋を選ぶと子どもがこう変わる!

中倉 彰子

これまでの「いつつの」シリーズでは、自ら負けを認めることの大切さや、将棋を通してこつこつと学ぶことの大切さに気付くことができることについて述べてきました。お子さんが将棋を習い事にすることによって「考える力が身につく」ということが言われていますが、将棋の習い事から学べることはそれだけじゃないんですよ。さらに大事なことがあるように思っています。

この記事では、子どもの習い事として将棋をすることの魅力について、女流棋士であり、1男2女の子育てに奮戦している中倉彰子が、5つののポイントからお話しします〜。

1. 将棋を習うと礼儀作法が身につきます

私が、将棋を教えるうえで一番大事にしているのは、「三つの礼」です。必ず一番最初に子どもたちに伝えるようにしてます。(あきこ先生の”はじめての将棋教室第1回”でも挨拶について最初に紹介していますね。)

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「三つの礼」とは、将棋を指すうえで必ず行うことになっている礼のことで、
「お願いします」
「負けました」
「ありがとうございました」
のことです。

対局が始まる際にはお互いに静かに頭を下げる。負けを悟ったときには自ら負けを認める。勝った側もそこで喜ぶのではなく、謙虚な姿勢で相手を思いやる。最後にお互いにもう一度礼をする。「ありがとうございました」。日々の対局でおこなわれています。これは礼に始まり礼に終わる日本の伝統文化だと思います。

日本の伝統文化にふれて礼儀作法を学ぶ。お子さんの習い事として将棋をすることを検討するうえで、もっとも重要なことのひとつだと思います。将棋大会などで子どもたちに会うと、子どもたちがみんな元気に挨拶をしてくれます。将棋の「3つの礼」から、礼儀作法を学んでくれているんですね(^^)。

また、将棋を習い事にすることは子どもに落ち着きを学んでもらうことにもつながると思います。この写真は、以前とあるイベントで対局のデモンストレーションをした際の写真です。正座をして静かに見ましょう!と言っていないにもかかわらず、対局が始めるまでは騒がしかった子どもたちが、一転して正座!黙って対局を見つめています。

羽生先生が以前雑誌のインタビューで、「極度に集中するときには、体が静止する」と発言されていました。集中して将棋を指すことには、落ち着きのない子どもたちに対しても、自然と良い姿勢、集中、黙る状態になるのかなと思います。それをみているこどもたちも空気を感じて凛とするものなのだなーと実感しました(^^)。

2. 負けから学ぶことができる子どもになります

将棋の対局は、「投了」といって自ら負けを認めることによってゲームが終わります。自ら負けを認めることは、人にせいにするのではなく、自分のせいにするということなので、とても難しいです。

大人になってもプロになっても、とても難しいことだと、負けるたびに思います。

「自ら負けを認める」ということは、負けを乗り越えていく力がつくということなので、人生をたくましく生きていく上でもとても重要なポイントであると思っています。ブログでもその点について詳しく書いています。「自ら負けを認めることが重要な5つの理由」の記事をご覧ください。

自ら負けを認めること、それによってよりよく生きていくことの大切さを、将棋を通してお子さんに教えてあげてほしいな、と強く思っています。

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3. 将棋を通じて、世代を超えた交流が楽しめます

私は父に将棋を教わったのですが(父と妹との3者対談記事もお読みください!)、将棋道場や大会に行くことによって、地域の方などの交流が広がっていきました。年齢もさまざまな方との交流を通じて、将棋は老若男女、様々な人たちとお話できるツールなんだなと実感しました。

体格の差や年齢の差はほぼ関係ありません。親と子、祖父と孫が同じ土俵にたって、真剣勝負できる競技はそれほどないと思いますよ♪ おじいちゃんと一緒に遊ぶために、あるいは子どもと一緒に楽しむためのコミュニケーションツールとして、お子さんの習い事に将棋を選ぶことにも大きな意味があると思います。ママの立場としても、たまに会う父と我が子が将棋を指して交流している姿は、微笑ましく嬉しくなりますね。

情報技術の発達により、人と人が対面ではなしをする交流する機会が減っているということをよく聞きます。そういった中で将棋は、年代が異なる人と人とが対面して、対局を通じて、終わった後は感想戦(対局について、お互いが振り返り、共同学習をする機会です)を通じてしゃべる機会をあたえてくれる。将棋の魅力はこういった部分にもあります。

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4. こつこつと取り組むことの重要性が理解できるようになります

将棋は、将棋盤と駒さえあれば、どこでもできるものです。グラウンドやコートなどに出かけなくても、雪でも雨でも問題なく楽しめます。将棋の学習方法のひとつである「詰将棋」などは、問題さえあれば、移動中などでもできるものです。
それゆえに、毎日こつこつと学んでいくことが、将棋のお勉強においては欠かせません。大人の生徒さんも通勤時などに詰将棋をしていますよ、と教えてくれました。最近読んだ論文には、30年以上指導を続けている先生が、短期間で強くなる子どもは、それほど上手じゃない頃から、1日あたり1時間半ほどの勉強をしている、ということが書かれていました。(古作・川崎・寺谷 「子どもとおとな、将棋能力の学習と発達 : どのように学ぶか、なぜ子どもは伸びるのか、おとなでも早く上達することは可能か(子どもと発育発達 13(3), 179-183, 2015)」より)

私が昨年の11月ごろから指導をさせてもらっている生徒さん。50歳を超えて将棋に本格的に取り組み始めた方ですが、始めた当時は六枚落ちでもなかなか勝てませんでしたが、毎日1時間半ほどこつこつと勉強されていた成果もあり、今では2枚落ちでいい勝負をするほどに至っています。

継続は力なりだなと改めて感じています。本当に少しずつでも、例えば、寝る前に詰将棋1ページとかいったように、日々の生活で必ず行うこととセットで習慣化していくことが必要になりますが、そういった中で子どもに、「大切なことを習慣化して、こつこつとやること」を教えることができるでしょう。半年ほどこつこつ続ければ、驚くべきほど自分の力になることを、将棋を習い事にすることによってお子さんに伝えることができると思います。

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5. そして、考えることが楽しくなります

考えることが楽しい!って思ってくれるのが一番です。

上でお話ししてきました通り、将棋を習い事にすることの魅力は考える力が身につくことだけではないのです! 知育だけを目的にせず、こういった魅力を包括するかたちで将棋に触れてほしいなあ、と考えています。

もちろん、将棋を習い事にすることによってお子さんが「考える力」を身につけられるという観点は、非常に重要なものだと思いますので、最後にこれについて紹介したいと思います。

将棋を習い事にすることを通して身につく「考える力」は、テストの点数が今すぐ上がる、というような見えやすく、成績に直結するような力ではない部分に真価があるように思います。例えば、「相手の立場に立って考える力」、「複数の選択肢から最善の手を考える力」などが挙げられるでしょう。

将棋によって身につく考える力に関しては、こちらの記事で独立させて詳しく論じてきました。詳しくは「子どもが将棋を指すと考える力が身につく5つの理由」をご参照ください。

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よくビジネスパーソンが、「将棋とビジネスには共通点がある」というのを耳にしますね。将棋によって身につけた考える力は、将来プロ棋士にならないとしても、非常に重要な「一生ものの宝」になるでしょう。将来のお子さんに対するプレゼントとして、将棋を習い事にするという選択はいかがでしょうか。

*
以上、子どもの習い事に将棋をさせることの魅力を5つの観点から伝えてきました。将棋はとっつきにくい、という印象を持たれるかもしれませんが、実はハードルは高くなく、パパママの負担も大きくありません!

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この記事の執筆者中倉 彰子

中倉彰子 女流棋士。 6歳の頃に父に将棋を教わり始める。女流アマ名人戦連覇後、堀口弘治七段門下へ入門。高校3年生で女流棋士としてプロデビュー。2年後妹の中倉宏美も女流棋士になり初の姉妹女流棋士となる。NHK杯将棋トーナメントなど、テレビ番組の司会や聞き手、イベントなどでも活躍。私生活では3児の母親でもあり、東京新聞中日新聞にて「子育て日記」リレーエッセイを2018年まで執筆。2015年10月株式会社いつつを設立。子ども将棋教室のプロデュース・親子向け将棋イベントの開催、各地で講演活動など幅広く活動する。将棋入門ドリル「はじめての将棋手引帖5巻シリーズ」を制作。将棋の絵本「しょうぎのくにのだいぼうけん(講談社)」や「脳がぐんぐん成長する将棋パズル(総合法令出版)」「はじめての将棋ナビ(講談社)」(2019年5月発売予定)を出版。

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